【Mizuno-CH中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.60

2022-02-21

【中越ビジネスマニュアル 第 60 回】

■  中国・ベトナムにおける個人所得税の確定申告ついて

中国もベトナムも、個人所得税は、月次、もしくは、四半期の源泉徴収納付が必要となります。では、確定申告は、どの様な位置付けでしょう か。両国の、制度の違いを解説します。

1.中国

<1>確定申告の位置付け

中国の個人所得税法は、2019 年1月に大きな改定が行われ、確定申告の位置付けも変わっています。改定前は、高額納税者(年間 12 万元以上の課税所得を有する個人)、計算間違いや納税漏れがあった場合に限定されていました。

これが、税制改定により、所得からの控除項目の追加申請や、還付が可能となりましたので、確定申告の対象者が拡大しています。

<2>確定申告期限・要件

確定申告要件を満たす個人は、翌年3月1日~6月 30 日に確定申告手続を行います。 また、確定申告が必要となる個人は、以下の通り規定されています。

  • 1)2カ所以上から総合所得を取得し、かつ総合所得の年間収入額から特別控除を引いた残高が、6万元を超過する場合。
  • 2)役務報酬所得、原稿料所得、ロイヤリティ所得のいずれか、もしくは、複数項目の所得を取得し、かつ総合所得の年間収入額から特別控除 を引いた残高が、6万元を超過する場合。
  • 3)納税年度において、予納した税金額が、納付すべき税金を下回る場合。
  • 4)納税者が税金還付を申請する場合。

※納税者が税金還付を申請する際、中国内の銀行口座情報を提供し、かつ、確定申告地で、還付手続きを行わなければなりません。

確定申告要件を満たす個人は、期間内に、所管税務局に「個人所得税自行納税申告表」を提出し確定申告を行う事となります。

2.ベトナム

<1>確定申告の位置付け

ベトナムの個人所得税法では、ベトナム居住者にのみ確定申告が求められていますので、ベトナム非居住者は確定申告が不要です。原 則として、暦年、もしくは、ベトナムへの初めての入国日から 12 カ月間に 183 日以上ベトナムに滞在する者がベトナム居住者となりますの で、確定申告手続きが必要です。

<2>確定申告期限・要件

ベトナム居住者の所得から個人所得税を源泉徴収したベトナム法人・駐在員事務所に関しては、原則として、暦年末日から3カ月目の末日まで に確定申告手続きを行います。ベトナム国外で支払われた給与所得を有する場合は、被雇用者自身にて申告・納付を行いますが、その際の確定 申告期日は、暦年末日から4カ月目の末日です(2020 年7月1日施行・改正租税管理法・第 38/2019/QH14 号・第 44 条)。な お、暦年では居住者でないが、ベトナムへの初めての入国日から 12 カ月間に 183 日以上ベトナムに滞在する場合、最初の課税年度は、暦年 ではなく入国日からの1年間となります。

例えば、2020 年 10 月1日に入国した場合の課税年度は、2020 年 10 月1日から 2021 年9月 30 日となるので、まず、この期間の 確定申告が必要です。その後、さらに 2021 年1月1日から 12 月 31 日までの確定申告も暦年で行わなければなりません。2021 年1月 1日から9月 30 日までの申告は重複しますので、暦年での申告に際して控除します。

また、ベトナム居住者は、183 日以上のベトナム滞在を原則としますが、例外として、以下の場合もベトナム居住者と看做されます。

  • 1)ベトナム居住法下における恒久的居住地にかかわる登記を有する者。
  • 2)レジデンスカードを有する者。
  • 3)ベトナム住居法下における住居用の賃貸借契約を課税年度において 183 日以上締結している者。

ただし、上記の例外要件に該当する場合でも、課税年度におけるベトナムでの滞在日数が 183 日未満であり、他国の税務当局が発行した居住 者証明書等にて他国の居住者であることを証明できる者は、ベトナム非居住者となり、確定申告は不要です。

以上