華東ビジネストレンド(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.259

2025-06-17

【中国ビジネス・トレンド】華東ビジネストレンド(簡易版)

華東地域(上海市、江蘇省、浙江省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。

※コンサルティングサービスの詳細は こちらをご参照ください。

1.上海市が市場参入利便化推進のための政策措置を公布しました

 
上海市市場監督管理局『市場参入登録の利便化に関する10項目の措置』

上海市政府が2月5日に発表した「上海市ビジネス環境改善8.0行動計画」の遂行のため、上海市場監督管理局が翌日に記者会見を開きその場で発表した、市場参入の利便化推進のための10項目の政策措置です。

10項目の要点は以下の通りです。
1)外国企業の中国における生産経営活動の展開に関する登記、代表処登記の全面オンライン化(「上海企業オンライン登記プラットフォーム」)
※外国企業の中国における生産経営活動とは、「外国(地区)企業の中国における生産経営活動に従事することに関する登記管理弁法(2020年修正版)」の第三条に規定されている、外国企業が中国で、陸上、海洋の石油及びその他の鉱産資源の探査開発、外国銀行の中国での分行設立等の経営活動を展開することを指します。
2)「上海企業オンライン登記プラットフォーム」のデジタル・スマート化の向上(AI活用、ビッグデータ処理)
3)企業名称登記のスマート化(AI大規模言語モデル、アルゴリズム、画像証等による企業名称の推薦)
4)住所標準化登記データ統一管理を全市範囲まで拡大(賃貸契約コード化を入力することで登記データ内に住所の詳細情報の自動連動ができる等)
5)電子営業許可証役割の発揮、電子営業許可証「上海専区」による企業への政策宣伝
6)「企業識別コード」の機能強化(コードから得られる企業情報内容、範囲の拡充など)
7)チェーン企業支店登録の利便化(実名認証/電子署名の簡略化、法定代表者権限移譲等)
8)特定の区を跨ぐ複数の事業拠点の一括登録(市内全店舗「多住所一営業許可」)
9)人民法院との情報共有(破産企業の情報把握、税務清算等のオンライン処理など)
10)ブランドスタジオに対するネット申請の差戻し時のサポート(「2回差戻し時の支援連絡」)

2.上海市における多国籍企業地域本部の機能強化に対する支援政策が出されました

 
『上海市における多国籍企業地域本部の機能強化を支援に関する若干の措置』(滬府弁規[2025]1号)

多国籍企業の「地域本部」の研究開発・イノベーション、財務管理、投資決定、調達・販売、サプライチェーン管理、共有サービスなど複数の機能の集積を促進し、「アジア太平洋地域本部」、事業部門の「グローバル本部」など高機能な本部へのアップグレードを推進するための上海市政府の支援措置の通知です。
今後3年間で、3つ以上の機能(投資、財務、調達、販売、研究開発など)を持つ本部の数400社を達成し、「アジア太平洋地域本部」の数を安定的に増加させ、「グローバル本部」が20社を超えることを目標としています。

3.上海市の人的資源・社会保障分野において行政処罰を課さない軽微な違反行為の最新リストが公布されました

 
人的資源・社会保障分野において行政処罰を課さない軽微な違反行為のリスト(一)(滬人規[2025]5号、2025年2月25日公布)

「国家長江デルタ一体化発展戦略」の一環で、2024年11月に公告されていた「長江デルタ区域の人的資源・社会保障分野において行政処罰を課さない軽微な違反行為リスト(意見聴取稿)」と整合をとるため、上海市が23年4月から施行していた同名のリスト(滬人規〔2023〕3号)の一部内容を修正したリストです。

4.上海市の条件を満たす高齢失業保険受給者に対する、企業従業員基本年金保険料納付補助政策です

 
『高齢の失業保険受給者の企業従業員基本養老保険加入に関する問題』の通知(滬人社規[2025]1号)

上海市の高齢失業者の保護強化のため、「高齢失業保険受給者」の「企業従業員基本年金保険」への加入資格を得る、或いは資格を維持することを支援する措置です。
失業者ゆえ(企業負担分は存在しないため)企業従業員基本年金保険料の全額が個人納付となりますが、「失業保険基金」から「最低納付基準額」までの納付補助が得られます。(「最低納付基準額」とは、各都市が定めるフレキシブル就業者の最低拠出基準)
2024年中央政府が公布した『(同じ表題の)人力資源・社会保障部、財政部、国家税務総局の通知』(人力資源・社会保障部、財政部、国家税務総局〔2024〕第76条)に基づき策定されました。

5.上海市域内で事業活動を行う企業に対する行政検査執行の改善策が公布されました

 
『企業の行政検査の規範化に関する実施意見』(滬府弁発[2024]34号)

上海市域内で事業活動を行う企業に対する行政検査執行の規範化を進めるため、市政府から市内の関係部局、委員会等に公布された通達です。
「恣意的な検査」「違法検査」を根絶し「重複検査」「複数機関による検査」を防止するとしています。

以下の3つのテーマで、合計21項目の指示を与えています。
1)行政検査の権限行使の規範化:
検査部署の役割/責任/裁量権の行使の適正化、検査範囲/基準の明確化、検査計画作成/備案届け出、行政部門間の連携によるワンストップ化など

2)行政検査執行の厳格な規範化:
検査方式改善、「トリガー式検査」の条件明確化、検査手順明確化、現場検査の実施規範化、検査記録の整備、検査後の処置規範化、検査を通じた助言/指導、他機関への案件移送のルール化、検査の等級別分類モデル作成など

3)検査執行の保障措置の強化:
統括管理の強化、現場検査の「検査コード」活用、検査データ収集/整理標準化、検査の質と効率のモニタリング評価、司法監督強化など

6.上海市の「交易場所」に対する管理強化政策が出されました

 
『上海市交易所管理暫定弁法』(滬府規[2025]2号)

上海市の「交易場所」の管理強化のため、市政府が市の各区政府、関係委員会、部局宛てに通達した暫定弁法です。
「交易場所」とは、商品現物取引や各種権利取引等を行う「交易所」或いは「交易センター」の名称を冠した、上海市行政区域内で、市の承認を受けて設立された取引場所(交易プラットフォーム)のことで、単純な車両、不動産等の実物取引と金融製品取引を取り扱う取引場所を除きます。

7.上海市の固形廃棄物に対する管理強化方案が出されました

 
『上海市の固形廃棄物の総合管理の全面的強化に関する業務方案』(滬府弁発[2024]30号)

上海市の固形廃棄物の総合管理を強化し、全工程・全段階をカバーする「閉ループ管理体制」の構築、固形廃棄物の安全で秩序ある効率的な利用と処分のための具体的な業務とその各々の責任部署(各区、委員会、関係部局等)の通達です。
6つのテーマにわたり合計19件の業務(任務)が示されています。
主な内容は以下の通りです。
(1)固形廃棄物の発生源の削減:
(2)分類利用/処理能力レベルアップ
(3)全工程カバーの「閉ループ監視体系」構築
(4)区域を跨ぐ違法投棄行為の厳重取り締まり
(5)地域連携による予防と対応の強化
(6)宣伝指導、社会監督の強化

8. 上海市飲食業に対する油煙や異臭などの管理ガイドラインが出されました

 
『上海市飲食業の大気汚染防止弁法』(滬府令18号)

上海市の飲食業の大気汚染防止の強化、大気環境の改善、公衆の健康保護のため、中国大気汚染防止法、上海市大気汚染防止条例等の関連法規の規定に基づき、上海市の実情を勘案した弁法です。主に油煙と異臭について具体的に定めています。