【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.64

2016-03-04

**【INDEX】 ** **【中国ビジネス・トレンド】 **[**外資企業の合併の実務上の注意点 ** ](#1) **【水野真澄セミナー情報】 **[**3月31日(木)静岡市 「これからの中国事業展開と事業再編の考え方」 ** ](#2) **【書籍】 ** [**水野真澄著書のご案内**](#3)

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**【中国ビジネス・トレンド】
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外資企業の合併の実務上の注意点

組織再編には、組織数の増加を伴う再編(分公司開設、中国内の持分投資等)と、減少を伴う再編(合併、営業譲渡等)があります。
その内、合併は組織の合理化・コスト削減が期待される形態ですが、実務上、重要な注意点がいくつかあります。以下、その内容を解説します。

1.合併の効果と注意点
合併とは、複数の法人が統合され一つとなる事ですが、その代表的なメリットとしては、以下が挙げられます。

**● 法人数を削減できる。
● 管理部門要員を削減できる。
** 合併により複数の拠点が本支店関係になると、拠点間の資金移動が比較的自由となります。また、(税関登記は総公司のみに認められるた め)通関業務を総公司が一括して行う事になる事から、資金調達・通関管理等の業務が総公司に集約され、組織全体の管理部門人員の削減が可能となります。
**● 本支店となる事で、総公司と分公司で損益通算ができる。
** 本支店形態の企業所得税課税については、「地域を跨ぎ経営し一括納税する企業所得税の徴収管理暫定弁法(国税発[2008]28 号)」 等に規定されていますが、ここでは、総公司・分公司の所得を合算した上で、一定比率に応じて本支店(若しくは、本店及び複数の支店)で課税所得を配分し、 各地で納税する事を定めています。
このため、課税所得が発生している組織と、損失の発生している組織が存在している場合、課税所得を圧縮する事ができます。

一方、デメリットとしては、本支店決算の手間が掛かる事(総公司・分公司が決算をした上で、それを合算・計数調整する必要がある)。更には、分公司は通関を伴う取引ができない(国内取引に限定)ため、貿易取引が総公司に集中し、業績評価が難しくなる事等が挙げられます。
つまり、資金・コストの合理化ができる一方、分公司の独立性は失われるため、意思決定の迅速性は下がるのがデメリットと言えます。

**2.合併の注意点
1)合併の意義
** 外資企業の合併の根拠法は、「外資企業の合併と分割に関する規定(対外貿易経済合作部・国家工商行政管理局 2001 年第 8 号)、以下、8 号規定」です。
8 号規定では、外資企業の合併形態を吸収合併と新設合併に分けていますが、双方、合併に関係する外資企業を所管する外経貿機関(原認可機関)の許可取得が義務付けられています。

吸収合併は一方が存続会社、一方が消滅会社になる方法です。新設合併は、新しい会社を作り、既存の会社は消滅する方法です。
税務上、消滅する会社の資産は存続会社に時価譲渡されたと見なされるため、(財税[2009]59 号・国家税務総局公告 2015 年第 48 号に定める特殊性 税務処理を適用できない場合)税コストが発生する懸念があります。更に、消滅する会社が多ければ、資産譲渡手続(名義変更手続等)の手間もかかります。
これらの点より、消滅会社が少ない方が、実務の手間・コストを削減できるため、新設合併形式が採用される事例は少なく、通常は、吸収合併となります。

ここで注意する必要があるのは、8 号規定は、複数の法人格を一つに統合する事のみを規定しており、例えば、吸収合併の実施が、自動的に総公司(存続会社)と分公司(消滅会社)への組織変更になる訳ではないという事です。

つまり、二つの法人登記は一つになりますが、二つの拠点の存続には直結しませんので、消滅会社所在地の拠点を残したいのであれば、別途、分公司開設手続が必要という事です。
分公司の開設時期ですが、合併手続前にこれを行わないと、資産の移管、業務の継続に支障があります。この順序を間違えると(存続会社の分公司を先に作っておかないと)、活動が中断する事になるので注意が必要です。

2)資本金
合併後の会社の資本金は 2 社の合計金額とする事が義務付けられ(8 号規定・第 11 条)、合併に伴う資本金の一部回収は認められません。
尚、従前は、合併条件として、定款に基づく資本金払込と完了と生産・経営の開始が規定されていましたが(8 号規定・第 9 条)、この制限は、「一部の規則及び規範性文書の改正に関する決定(商務部令 2015 年第 2 号)」により廃止されました。

**3)加工貿易企業
** 合併に際して障害が多い例として、消滅会社(分公司として存続)が加工貿易を行っている場合が挙げられます。

前述の通り、本支店形態の場合は総公司のみが税関登記が可能(分公司は税関登記が受理されない)であり、結果として、分公司は加工貿易手冊の取得者とはなれません。
合併によって消滅会社の登記がなくなれば、その加工貿易手冊も失効します。よって、その前に、分公司を開設し、そこでの加工を前提とした手冊を、総公司の名義で取得する必要が有ります。

手冊取得には数か月を要しますし、事前に、一定人員、設備を新設の分公司に移管しないと、加工貿易手冊取得に際して必要となる生産能力証明が取得できません。この様に、資産・人員移管のタイミングも重要となります。

更に、総公司と分公司が異なる市に有る場合は、異地加工貿易(税関所管区を跨ぐ加工貿易)形態となり、注意を要すべき点が他にも出てきます。
「一部の規則の改定に関する税関総署の決定(税関総署令 2014 年第 218 号)」では、異地加工貿易が、税関の許可事項から備案事項に変更されました(法的には、税関での登記手続のみで対応可能)が、実際には、税関の実質的な審査を受けます。
異地加工貿易形態は、手冊を発給する税関の所管地域外に、管理対象となる保税貨物が有るという、税関としては管理が難しい形態であるため、対応可否は所管税関の意向に大きく左右されます。
また、市内で区を跨ぐ場合(同一市内ながら別の区に総公司と分公司が所在する場合)、「市内であるため異地加工貿易ではないが、実務上の所管は異なる。この形態は、税関総署が定めた根拠法ないため備案不可」との回答を、上海・深センの税関より受けた事例があります。
この様に、加工貿易企業の組織再編は、非常に複雑なものとなりますので、十分に注意した上で意思決定を行う様にして下さい。

以上


**【水野真澄セミナー情報】
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3 月 31 日(木)静岡市 「これからの中国事業展開と事業再編の考え方」
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静岡を拠点に県内企業のグローバルビジネスをサポートしている(株)ありがとう様との業務提携を記念し、3 月 31 日に静岡市にて共同主催セミナーを開催いたします。

<概要>
中国が WTO に加盟してから 15 年、様々な制度の変更や規制の緩和・撤廃が進められ、それに合わせて日本企業の中国ビジネスも多様化、複雑化しています。
本セミナーは、中国ビジネス制度の最新状況をキャッチアップしたうえ、皆様のビジネスにお役立ていただくことを目的としています。
セミナー前半では、静岡県内企業様の中国ビジネス事情や動向について、多数の情報・ヒアリングをもとに分析した結果を報告いたします。
後半では、これからの中国ビジネスとして注目される、インターネットの活用、越境 EC のほか、香港やアセアンなど中国と密接な関係にある国・地域の活用、さらに中国ビジネスに適合する組織の再編について解説いたします。

<セミナー情報>
日時:2016 年 3 月 31 日(木)13:30 ~ 16:30(13:00 開場)
会場:静岡商工会議所 静岡事務所会館 404 号室 ※静岡駅から徒歩 3 分
参加費:(税込)3,000 円/1 名様
定員数:15 名
主催者:(株)ありがとう様、弊社共同主催

<プログラム>
■ 県内企業の中国ビジネス事情
講演者 株式会社ありがとう 櫻井渉(13:30 ~ 14:00)

■ これからの中国事業展開と事業再編の考え方
講演者 水野コンサルタンシー 水野真澄(14:00 ~ 16:15)

第 1 部 中国市場の位置付け
1.対中直接投資の推移
2.ASEAN シフトは中国撤退を伴うものか
3.非製造業

第 2 部 中国のビジネスモデル
中国における外資企業のビジネスモデルの変化
1.製造業
2.流通業
個別ビジネスモデル
1.インターネットの補助的利用
2.越境 E コマース
3.保税展示販売
4.ASEAN との FTA の活用
5.香港の地域統括会社としての活用

第 3 部 中国組織の効率化とビジネスモデル
1.外資企業の合併
2.外資企業の支店(分公司)
3.外資企業の持分譲渡(買収、エグジット)
4.外資企業の国内投資
5.製造委託(販売会社への転換と中国企業などへの製造委託)

<その他>
セミナー参加者を対象とした弊社代表水野真澄による無料面談会を 4 月 1 日に開催します。
日時:4 月 1 日(金)10:30 ~ 14:00 ※5 組先着順 各 30 分
(10:30 ~ 11:00、11:00 ~ 11:30、11:30 ~ 12:00、13:00 ~ 13:30、13:30 ~ 14:00)
場所:静岡市清水産業・情報プラザ( http://www.siip.jp/index.html

**【お問合せ・お申込み先】
** 水野コンサルタンシー日本代表事務所
横浜市西区みなとみらい 2-2-1 横浜ランドマークタワー 20 階
Tel: 045-277-3764 Fax:045-277-3801
E-mail: info@mizuno-ch.com(担当:横幕、杉山)
※無料面談をご希望の方は合わせてお申し込みください。


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