増値税発票の種類と普通発票規制強化 執筆日:2017年8月5日

2020-05-31

増値税発票の種類と普通発票規制強化

増値税は日本の消費税と同様の流通税で、最終消費者が税金を負担する税金です。

その為、中間段階にある納税義務者は、増値税を仮受け・仮払いして、次の納税義務者に繋いでいく形態を取りますが、そこで重要となるのが増値税発票で、これがないと、仕入控除が受けられません。

この発票には、専用発票と普通発票が有り、その扱いが異なりますが、2017 年 7 月 1 日より、発票に関する管理が強化されています。

1.発票の種類

増値税発票には、専用発票と普通発票が有ります(他に、赤字発票というキャンセル様の発票がありますが、ここでは省きます)。

専用発票とは、これを受け取った相手先が、これを使用する事で仕入控除・輸出還付を行う事が認められる発票。普通発票は、正規の発票ではありますが、受け取っても仕入控除・輸出還付の証憑としては使用できない発票を言います。

では、普通発票はどの様な場合に使用されるかというと、小規模納税義務者・個人に対して発票を発行する場合です。

増値税暫定条例には、「消費者個人に対する販売、小規模納税義務者に対する販売、免税規定を適用する場合は、増値税専用発票を発行してはならない」事が規定されています。つまり、そもそも仕入控除・輸出還付権を有していない取引先や免税取引に対しては、これらの証憑となる専用発行自体が禁止されており、普通発票のみの発行が認められています。

2.普通発票に対する規制強化

「増値税発票発行関連問題に関する公告(国家税務総局公告 2017 年第 16 号)」により、2017 年 7 月 1 日より、増値税普通発票の起票に際しても、購入者の納税者識別番号・統一社会信用コードの提供が必要となっています。

普通発票は、上述の通り、仕入控除・輸出還付の証憑とはなりませんので、相手先の納税者識別番号などの情報入力は免除されていました。

但し、普通発票であっても、税務処理の証憑(企業所得税の損金算入など)として使用される面を考慮し、この様な規制強化が実施されたものと思われます。

勿論、これは税務処理に関する規制強化ですので、顧客が個人の場合はこの様な情報入力は不要です。

但し、個人が立替払いして、会社で経費精算する場合は、これらの情報入力が必要になりますので、発票取得時の手間が増える事になります。

尚、この場合(旅費・交際費等の経費精算のための、個人が普通発票を取得する場合)、発票に会社名と納税者識別番号、若しくは、統一社会信用コードの記載が必要となります。この内、納税人識別番号は、現時点では以下の 2 種類があります。

① 三(五)証合一手続きを完了した企業の場合は、営業許可書に記載されている「統一信用社会代码」(18 桁)を納税者識別番号とします。

② 上記の手続を完了していない企業の場合は、税務登記証に記載されている、税務登記証番号(15 桁)を納税者識別番号とします。