中国・ベトナムにおける配当に対する課税・外資パートナーシップについて【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.118
2026-03-23【中越ビジネスマニュアル 第118回】
中国・ベトナムにおける配当に対する課税について
中国・ベトナムにおける配当に対する課税について解説します。
1.中国
(1)海外出資者に対する配当
配当金の対外送金に際しては、企業所得税法第4条・第27条、同法実施条例第91条に基づき、10%の源泉徴収が必要となります。
ちなみに、旧税法(外商投資企業および外国企業所得税法)では、外資企業の配当は免税とされていましたが、2008年1月1日に現行の企業所得税法に改定されるに際して、対外配当は10%の課税に変更されました。
配当時に源泉徴収されるのは企業所得税のみであり、増値税の納付は不要です。
なお、最近の制度変更として、以下が挙げられます。
1)配当金の納税義務発生時点は、かつては、配当決議日とされており(国家税務総局公告2011年第24号・失効)、このタイミングで納税しないと、配当時に延滞税を徴収されることがありました。
これが国家税務総局公告2017年第37号により、納税義務発生時点が配当送金日に修正され、問題が解消しました。
2)「外国投資者が分配利益により直接投資する場合の暫定的な租税繰り延べ政策の適用範囲拡大に関する通知(財税[2018]102号)」により、国外出資者が出資先の外資企業から受領する配当を原資として、中国に再投資を行う場合、配当に関する源泉徴収課税(企業所得税課税)をエグジット時まで暫定的に繰り延べる優遇措置が施行されています。
(2)中国内出資者に対する配当
中国居住者に対する企業所得税の課税率は25%ですが、中国企業が、中国内で出資する非上場の会社から受領する配当は、免税対象となります(企業所得税法第26条および同法実施条例第83条)。
2.ベトナム
(1)海外出資者に対する配当
04年に利益送金税は廃止されたため、法人出資者への配当金の対外送金に際しては、法人税の源泉徴収は不要です。
ただし、個人出資者への配当送金に際しては、原則として個人所得税5%の源泉徴収が必要となります。
例外として、一人社員有限会社(出資者が法人1社、もしくは個人1人の有限会社)の出資者が個人の場合、支払われる配当は個人所得税の課税対象外となるため、源泉徴収は不要となります(財務省通達・第92/2015/TT-BTC号)。
(2)ベトナム内出資者に対する配当
ベトナム企業がベトナム内で出資する会社から受領する配当は、免税対象となります。
個人出資者がベトナム内で出資する会社から受領する配当は、原則として個人所得税5%の課税対象となりますが、例外として、一人社員有限会社の個人出資者へ支払われる配当に関しては免税対象となっています。
中国・ベトナムにおける外資パートナーシップについて
中国とベトナムにおける外資パートナーシップ制度について解説します。
1.中国
中国で外資パートナーシップ(中国語:外商投資合夥企業)の設立が認められたのは、「外国企業・個人が中国内で設立するパートナーシップ企業管理弁法(国務院令2009年第567号)」(失効)、「外商投資パートナーシップ企業登記管理規定(国家工商行政管理局令2010年第47号)」(失効)ですが、双方廃止されています。
現在の根拠法は、内資と同様、「パートナーシップ企業法(主席令2006年第55号)」、「市場主体登記管理条例(国務院令2021年第746号)」、「市場主体登記管理条例施行細則(国家市場監督管理総局令2022年第52号)」となります。
外資パートナーシップ企業とは、外国企業・外国人を含む2者以上の出資者で構成され、ジェネラルパートナーシップ(外商投資普通合夥企業)とリミテッドパートナーシップ(外商投資有限合夥企業)に分類されます。
ジェネラルパートナーシップとは、出資者全てがパートナーシップの債務に無限責任を負う形態を指し、リミテッドパートナーシップとは、無限責任出資者と有限責任出資者で構成される(最低1名は会社の債務に対して無限責任を負う)形態を指します。
外資パートナーシップ企業の特徴は以下の通りです。
●責任負担・利益配分を当事者間で決定することができる。
●外国企業が役務により出資できる。
●企業所得税法上は課税対象ではなく、出資者に直接課税される。
以上の通り、柔軟な利益・リスクの配分が可能であることや、パススルーエンティティとなるため、配当時の二重課税を回避できるというメリットがあります。
一方、パートナーシップの場合、最低1名は企業の債務に対して無限責任を負う必要があるため、通常の外資形態(有限責任会社)よりもリスクが高くなります。
このため、設立事例が極めて少ない状況です。
2.ベトナム
外資パートナーシップ企業は、「企業法・第177条~187条」を根拠とします。
外資パートナーシップ企業とは、外国人を含む2名以上の合名社員(無限責任を負う出資者)で構成される会社を指し、出資社員(出資金の範囲で有限責任を負う出資者)を加えることも認められています。
法律上、パートナーシップ企業の分類はなされていませんが、日本の制度を前提としますと、合名社員のみで構成されるものが合名会社、合名社員に出資社員を加えたものが合資会社として分類できます。
外資パートナーシップ企業の特徴は以下の通りです。
●少なくとも2名以上の合名社員(無限責任を負う出資者)で構成される会社であり、出資社員(出資金の範囲で有限責任を負う出資者)を加えることができる。
●合名社員は個人でなければならないが(無限責任を負うため有限責任である企業は不可)、出資社員は個人・企業とも認められる。
●合名社員は、他の合名社員の同意なく、他社の合名社員となることはできない。
また、同業種の事業経営を行うことも認められない。
●企業法の下に設立されるため、法人税法上の課税対象である。
●出資比率もしくは会社定款に定める方法により利益分配(配当)を受ける。
以上の通り、柔軟な利益・リスクの配分が可能であるというメリットがあります。
一方、最低2名は、企業の債務に対して無限責任を負う必要があるため、中国のパートナーシップと比して、さらにリスクが高くなります。
このため、中国同様に設立事例が極めて少ない状況です。
以上