【Mizuno-CH 中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版 Vol.36 (2020 年 4 月 20 日発行)

2020-05-21

【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版 Vol.36 (2020 年 4 月 20 日発行)

【中越ビジネスマニュアル 第 36 回】

中国・ベトナムにおける外資企業の法定代表人について

今回は、現地法人(外資企業)の法定代表人の位置付けについて解説します。

【中国の場合】

■ 法定代表人の選択肢

会社法には、「法人の法定代表人は、董事長、執行董事、総経理のいずれかが就任する」と規定されています。中国の法人は、董事会を設置する場合(董事長1名と、2名以上 12 名以下の董事より構成)と、董事会を設置せずに、1名の執行董事に権限を集約する場合があります。総経理は、董事会(もしくは、執行董事)が選任する現場管理責任者となります。

つまり、現地法人が董事会を設置している場合は、董事長か総経理。設置していない場合は、執行董事か総経理のいずれかから、法定代表人を選定する事になります。

■ 非居住者の登録

董事長・董事・総経理のいずれも、中国では非居住者の就任は禁止されていません。

特に、董事長・董事については、非居住者がこれを務める実例は非常に多く、(董事長が)法定代表人を務める場合も同様です。

総経理は、現場監督の位置付けですので、中国居住者が望ましいという意見を、行政機関は持っていますが、直接的に非居住者の就任を禁止する法規はないため、実例は少なからず存在します。

■ 法定代表人選定の実務

法定代表人として登録できるのは、どの様な役職の人間かというのは、上記の通りですが、董事長(董事会を設置する場合)と総経理のいずれを法定代表人とするのが良いでしょうか。法定代表人の位置付けは、行政機関に対する報告事項に責任を負う役職という理解が適切と思われ、会社の意志決定や経営判断は、董事や高級管理職が一義的に負う事になります。

また、銀行や行政機関に対して、法定代表人のパスポート原本提示や、場合によっては、本人の出頭が求められる場合もあります。それを考えると、中国駐在者が法定代表人となる方が、業務の支障は軽減されるかと思います。

董事長・総経理の双方が中国駐在員(もしくは、双方、非居住者)の場合は、どちらでも良いですが、董事長が非居住者、総経理が駐在員という実例が比較的多い状況ですので、その場合は、駐在員である総経理が法定代表人となった方が、実務上の効率性は期待できます。

【ベトナムの場合】

■ 法定代表人の選択肢

有限会社および株式会社は、1人、もしくは、複数の法定代表人を選定することできます(企業法第 13 条)。

ベトナムの法人形態は、有限会社、および、株式会社が一般的ですが、有限会社は、出資者が1名の一人有限会社(出資者は法人、個人ともに可能)と、出資者が2名以上の二人以上有限会社に分けられます。尚、株式会社の場合は、3名以上の出資者が必要となります。

法定代表人は、定款に特段の定めがない場合、法人形態によって、以下の通りと定められています。

1)一人有限会社(法人出資)

社員(出資者)総会の会長、もしくは、会長(同法第 78 条)。
定款に定めれば、社長も可能。

2)一人有限会社(個人出資)

会長、もしくは、社長(同法第 85 条)
注)個人出資の有限会社の場合、社員総会はない。

3)二人以上有限会社

社員総会の会長、もしくは、社長(同法第 55 条)

4)株式会社

取締役会会長。もしくは、社長(同法第 134 条)。
定款に特段の定めがなければ取締役会会長が就任。

■ 非居住者の登録

非居住者の法定代表人就任は禁止されていませんが、少なくとも一人の法定代表人は、常駐者であることが求められています。したがって、複数の法定代表人を有する会社は、一部を非居住者とする事が可能ですが、法定代表人が1人の場合は、非居住者の就任は認められません。また、1人の法定代表人のみ設定している会社の場合、法定代表人がベトナムから出国する際には、書面で、権利・義務を遂行する代理人を定める必要があり、委任なく出国し、30 日を超えてベトナム不在となる場合、新たに法定代表人を選定する必要があります(同法第 13 条)。

■ 法定代表人選定の実務

ベトナムの法定代表人は、行政機関への報告に責任を負うだけでなく、取引・紛争・その他法律から発生する権利の行使、義務の履行に際して、会社を代表するものです。

ベトナムの法制度上、会社の経営判断に責任を負うのは、有限会社の場合は、会長と社長。株式会社の場合は、取締役と社長となりますので、法定代表人の選択肢と、原則として一致します。よって、法定代表人が1名の会社の場合、これらの役職者の中で、ベトナムに居住する個人を法定代表人として設定する事になります。

以上


【MCH ベトナムコンサルティングサービスのご案内】

MCH ベトナムコンサルティングサービスは、月額 USD200(既存の中国ビジネス会員様は現在の会費+ US100 ドル)にて、Q&A サービスを提供し、ベトナムビジネスに関する総合的なご質問に対し、個別調査・作業を必要としない限り、回数無制限でお受け致します。

※ベトナム関連のご質問は、ベトナム契約をいただいた会員様限定とさせていただきます。

ベトナムオフィス:MIZUNO CONSULTING VIETNAM COMPANY LIMITED.

31F, Saigon Trade Center, 37 Ton Duc Thang Street,

Ben Nghe Ward,District 1, Ho Chi Minh City, Vietnam

Tel/Fax : (84) 28-3910-1822

お問い合わせ:info@mizuno-ch.com (担当・水嶋)


【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版発行者 MizunoConsultancyHoldingsLtd.

WEB サイト http://www.mizuno-ch.com

このメールマガジンは弊社関係者と名刺を交換させていただいた方、その他ご縁のあった皆様に発信させていただいております。
今後、このメールマガジンの配信が不要な場合は、誠にお手数ですが、下記メールアドレスへ配信停止と記載して送信をお願いいたします。

お問い合わせ、配信停止は mag@mizuno-ch.com までお願いします。