【Mizuno-CH中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.63

2022-03-24

【中越ビジネスマニュアル 第 63 回】

■  企業名称の決定

中国でもベトナムでも、会社名の決定には一定の制限があります。外資企業の社名決定方法について解説します。

1.中国

<1>社名登記

中国の会社設立の最初の手続きは、社名申請・社名登記です。問題なければ、一両日で登記できますが、社名ルールに合わない場合は受理されません。さらに、ルールに合致していたとしても、同一名称・類似名称が登記されている場合は受理されません。類似名称については、例えば「同一地域(原則として市内)の、 同一・類似業種に、類似の名称が既に登記されている場合」は受理されません。これは、例えば3文字中、2文字が同じという場合でも受理されず、交渉が必要となります。このような場合、社名登記だけで数カ月を要する事例も見られます。

なお、「企業名称登記管理規定」(国務院令 2020 年第 734 号)により、2021 年3月1日より社名登記が許可制から自主申告制に変更されますので、一定の合理化は期待されますが、ルール自体の変更はありませんので、効果のほどは現時点では不透明です。

<2>社名の原則

企業の社名は、商号+業種+地域+会社形態で構成する必要があります。

商号は、漢字2文字以上と定められており(漢字一文字の商号は不可)、アルファベット・数字などは登記できません。なお、漢字名称を正式なものとした上で、補助的に、英語名称を登記することは可能です。

<3>地域

地域は、市が使用されます(県以上の行政単位を使用)。

中国、中華、全国、国家、国際という名称の使用は、厳格に制限されており、外資企業の場合は、投資性公司に限定して使用が認められています。

なお、「企業名称登記管理実施弁法」(国家工商行政管理局令 2004 第 10 号)・「企業名称使用禁止制限規則」(工商企注字[2017]133 号)には、5千万元以上の資本金の場合、国家工商行政管理局の許可を取得する事を前提に、地名を使用しない名称を使用することが認められています。この資本金基準 が、外資投資性公司以外の「中国」という地域の使用に関する審査に準用されています。

2.ベトナム

<1>社名登記

ベトナムの会社設立の最初の手続きは、投資登記申請です。社名は投資登記申請書に記載しますので、中国のような事前・別途の社名申請・社名登記手続きではありません。問題なければ 15 日内で登記できますが(投資法・第 61/2020/QH14 号・第 38 条)、社名ルールに合わない場合は、計画投資局から 15 日内にその旨の通知が書面でなされます。事前の社名確認は、国家事業登記ポータルサイトにて行うことはできますが、同一名称だけでなく、類似名称の登記も認められていませんので注意が必要です(企業法・第 59/2020/QH14 号・第 38 条)。類似名称とは、名称は異なるが読み方が同一である場合、 既に登記された同種企業の名称と数字が異なる、アルファベットが一文字異なる、記号が異なる、「新」という名称が異なる、「北部」、「南部」、「中部」、「西部」、「東部」という名称が異なる場合を指しています(企業法・第 41 条)。

<2>社名の原則

企業の社名は、商号+会社形態で構成する必要があります(企業法・第 37 条)。

商号は、ベトナム語アルファベット、F・J・Z・W(ベトナム語アルファベットに含まれていないアルファベット)、数字、記号を登記できます。

また、社名にベトナムという名称を使用することは認められますが、国家機関、政治組織等の名称の使用は、各機関・組織等の承認が無い限り認められません。 公序良俗に反する名称、記号の使用も認められません。

なお、ベトナム語名称を正式なものとした上で、補助的に、英語名称を登記することは可能です。 以上

■  中古設備の輸入

中国、ベトナムで中古設備を輸入するには、一定の制限があります。中古設備輸入に関して解説します。

1.中国

<1>輸入管理の概要

中国における中古設備輸入管理の根拠となるのは、「輸入中古機電製品の検査監督管理調整に関する質検総局の公告」(2014 年第 145 号、以下 145 号)です。

当該公告は、中古設備の種類に応じて、「輸入禁止となるもの(付属文書2・管理措置表1に記載される中古設備)」、「制限対象となるもの(付属文書2・管理措置表2に記載される中古設備など)」を列記しています。

制限対象となる中古設備に関しては、船積み前検査・輸入通関検査・到着検査等を実施し、リストに掲載されていない中古設備機械については、船積み前検査を免除する事が定められています。

なお、輸入禁止・制限リストに掲載されておらず、船積み前事前検査が免除される設備を輸入する場合、荷受人・使用者は、「中古機電製品輸入声明」を所管の税関に提示する必要があります。ここには、設備の種類・数量・金額・用途に加え、品質安全問題に責任を負う旨の宣誓が記載されています。

<2>船積み前検査機構

上記 145 号には、船積み前検査を行う組織(旧質量監督検験検疫局の外部組織。日本の場合は、「中国検験認証集団日本有限公司」)が記載されています。その後、「中古製品輸入検疫監督管理弁法の修正に関する決定」(国家質量監督検験検疫総局令第 187 号)により、2017 年4月1日から、必ずしも、これら の機関ではなく、資格がある第三者検査機構で船積み前検査を行うことが認められました。また、同法の実施細則(税関総署公告 2020 年第 127 号)が、2021 年1月1日に施行されていますが、ここでは、船積み前検査に従事する検査機関に対する管理手続が規定されています。

2.ベトナム

<1>輸入管理の概要

ベトナムの管理制度の根拠となるのは、「中古機械・設備・システム(以下中古機械等)の輸入規定」(科学技術省通達・第 23/2015/TT-BKHCN 号)です。

中古機械等の輸入が認められるのは、原則として、機械等の製造から輸入までの期間が 10 年以下であり、かつ、ベトナムの国家技術基準、ベトナム標準、もしくは、先進7カ国(G7)各国の安全・省エネルギー・環境保護の規定に合致している中古設備です(同通達・第6条・第1項)。この条件に合致する中古設備 である事を証明するためには、製造者(メーカー)、もしくは、認定機関による鑑定書の提出が求められます(同通達・第7条・第2項)。

なお、新規投資、もしくは、拡張投資プロジェクトに際して輸入予定の中古機械等一覧が提出され投資登記証が発行されている場合、上記規制は適用されませんが(同通達・第6条・第2項)、同通達は、輸入時の規制を示したものに過ぎず、輸入時以前の投資登記証の発給時において安全・省エネルギー・環境保護の規 定に合致しているかの査定・評価はなされるため(科学技術省通達・第 03/2016/TT-BKHCN 号・第9条)、無条件に中古機械等の輸入を認めている訳ではありません。

また、2019 年6月 15 日発効の首相決定・第 18/2019/QD-TTg 号により、中古機械・設備の一部への上限規制は 15 年~ 20 年へと緩和され、中古システムに関しては、年数による規制ではなく、残存能力が 85%以上であり、かつ、原材料・エネルギーの消費量が設計値を 15%超過してはならないと いう規制に変更されています。

以下は、規制緩和対象品目です。

  • 上限 20 年対象品目 HS コード: 8420、8439 ~ 8441、8454 ~ 8463、8465、847930
  • 上限 15 年対象品目 HS コード: 841932

<2>船積み前検査機構

科学技術省通達・第 2652/BKHCN-DTG には、船積み前検査を行える認定機関(日本の場合、日本海事検定協会)が記載されています。認定機関による鑑定書には、製造年、設備名称、ブランド名、シリアルナンバー、型番、メーカー名、ベトナム国家基準等への準拠が明記されていなければなりません(科学 技術省通達・第 23/2015/TT-BKHCN 号・第 10 条・第1項)。鑑定書は輸入前6カ月以内の発行が求められています(同通達第 10 条・第3項)。

以上