保証付き借入制度の変更(親会社保証付借入) 掲載日:2014年9月1日

2014-12-11

掲載日:2014 年 9 月 1 日

保証付き借入制度の変更(親会社保証付借入)

2014 年 5 月 12 日に、国家外貨管理局より「クロスボーダー担保外貨管理規定(匯発[2014]29 号)」が公布され、2014 年 6 月 1 日より施行されています。 この規定は、「中国内の企業が、外国企業に対して借入保証を差し入れる行為(内保外貸)」と、「外国企業が、中国内の企業に対して借入保証を差し入れる行為(外保内貸)」の双方に関して、規制緩和を認めるものです。

以下、中国現地法人の国内銀行借入に際して、日本などの親会社が(中国内の銀行に)借入保証を差し入れる行為(外保内貸)に付いて解説します。

1.制度変更

1)制度変更前
中国現地法人の国内借入(中国内の銀行からの借入)は、通貨(外貨借入・人民元借入共に)・借入先(内資銀行・外資銀行共に)を問わず、外債登記の対象外ですので、投注差規制(外債登記金額を定款上の総投資から資本金を控除した金額の範囲内とする制限)の対象とはなりません。これは、国外親会社の保証付き借入であっても同様です。 但し、中国現地法人が債務弁済不能となり、保証を提供している親会社が中国内の銀行に対して保証履行を行う場合、中国現地法人は、外貨管理局で保証債務に関する登記を行う必要が有り(匯発[2005]74 号)、この金額は投注差の範囲内に制限されていました。 実務を考えれば、現地法人が債務弁済不能な状況となった場合、親会社が保証履行による代理弁済をするのではなく、増資をして借入金を返済させるのが通常で、この場合、投注差管理は問題とはなりません。
但し、借入企業(現地法人)の投注差枠が保証付き借入金額に満たない場合、当該規制の存在により、銀行が(親会社保証が有っても)貸付に対して難色を示す事例が見られました。これは、現地法人の財務状況が悪くなった場合、国外の親会社が、実際に債務弁済のための増資を実施するかどうかに不安を感じる事によるものです。

2)制度変更後
今回の制度変更では、保証の差入れ(合法的な保証契約は当事者間で締結可能)、保証履行時の外貨管理局に対する届出(貸付金融機関が行う)に関しては、従来通りで変更は有りません。
重要な変更点は、保証履行額の総量規制に関してで、「現地法人(借入企業)の前年度の会計監査報告書に記載された純資産金額は、投注差管理の対象から除外される」様になった事です。
つまり、純資産を超過した金額が、投注差管理の対象となり、保証履行時には、この金額(保証履行額が前年度の純資産を超過した金額)を、短期外債として外貨管理局で登記する事になります(第 19 条・20 条・付属文書2)。
尚、保証履行を受けた現地法人は、その債務を弁済するまで、原則として(外貨管理局の許可を取得しない限り)、新規の保証付き借入は認められません。

2.保証料の支払

保証料の支払は、サービス送金の規定に基づき実施できる事が規定されています(第 26 号)。
「サービス貿易等の項目の対外支払税務備案に関する問題についての公告(国家税務総局・国家外貨管理局公告 2013 年第 40 号)」・第 1 条・第 2 項には、保証料の対外支払いは、US$5 万を超過する場合、税務局での備案が必要(US$5 万以内であれば、銀行審査のみ)である事が規定されています。
つまり、US$5 万以内であれば銀行審査のみ。これを超過した場合は、税務局での備案(外貨管理局の許可は不要)で送金可能となりました。