【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.112

2019-12-22
**【INDEX】

【中国ビジネス・トレンド】
**■ 華南ビジネス・トレンド
華南地域(広東省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。
※最新の華東ビジネス・トレンドこちらをご参照ください。

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[**【中国ビジネス・トレンド】**]()

**華南ビジネス・トレンド
**
華南地域(広東省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。

1.深セン市人力資源社会保障局
『2019 年深セン市人力資源市場指導給与水準』

1999 年以来、毎年実施する市内就労者の給与水準の実情調査と、それに基づく「指導給与水準」の公表です。業種、業態、企業規模などで仕分けし、職種、職位、技能、教育水準などに細分化された精密なリストが作成されています。

旧労働社会保障部(現在の人力資源社会保障部)が 1999 年に公布した、『労働力市場指導給与水準制度の通知(原労社部発[1999]34 号』に基づきます。

この「指導給与水準」は強制ではなく、自主的に使用する目安(指導性数値)となります。
企業経営効率と就業者の適正賃金の両方が適正範囲に収まるような指導を、「分野毎の実勢に則しながら行う」という考え方を採っています。

全企業への指導給与レベルを、それぞれ「高位値」「中位値」「低位値」に 3 分類し、それらの「平均値」を加えて一覧リストにしています。
「高位値」:給与分布の上方 10%レベル
「中位値」:分布の中央レベル
「低位値」:下方 10%レベルに該当します。

業績が標準的な企業は「中位値」を、業績良好な企業は「高位値」、業績が厳しい企業は「定位値」を参考にすることを奨励しています。
(但し、毎年別途規定される「最低賃金水準」を下回ることは不可となります)

但し、強制ではないとはいえ、「国営企業」は『両低于原則』(「給与総額の伸長速度を経済効率の増長速度より低く抑える」、「平均給与の伸長速度を労働生産効率の増長速度より低く抑える」という二つの原則)の遵守が要求されています。

2019 年度に深セン市は 1,164 社、24,715 人の就業者のデータを収集し、数値分析を行い、1,134 社(13 分野、38 業界、職業 5 大分類、59 中分類、231 小分類、448 細分類)に対して指導制給与水準を設定しました。

人件費と企業の経済効率との関係を、『総コストに占める人件費の比重』、『人事費用率』、『人件費 100 元当りの売上収入』、『人件費 100 元当りの利潤』の 4 つの指標で、人件費コストの経済効率を分析し、「指導制給与水準」を算出しています。

深セン市の場合は、併せて『深セン市最低給与標準推移表』も添付しています。

原文:※指導制給与水準の説明・一覧表・分析データ・グラフを含む
http://hrss.sz.gov.cn/xxgk/tjsj/zxtj/201911/t20191114_18630794.htm


2.広州市人力資源社会保障局
『2019 年広州市人力資源市場指導給与水準及び 2018 年企業人件費コスト情報』

旧労働社会保障部が 1999 年に公布した、『労働力市場指導給与水準制度の通知(原労社部発[1999]34 号』に基づき、広州市が発表した 2019 年度の「指導性給与水準」です。
分析の基になった 2018 年度の企業の給与実績レベルの詳細な統計データを併せて提示しています。

広州市の場合は、給与水準を「10 分位」、「25 分位」、「50 分位」、「75 分位」、「90 分位」の 5 水準で示しています。

「10 分位」:給与分布の下位 10%レベル(深セン市の低位値に相当)から順に、「90 分位」:給与分布の上位 10%レベル(深セン市の高位値に相当)まで金額が上昇します。
「50 分位」が深セン市の中位値と同等です。

広州市の 11 区、2,536 社、329,464 人のデータを収集し、職業 632 細分類、17 業種合計 1,594 種の指導制給与水準を設定。

2019 年の指導性価格には、下記の 4 つの特徴があるとしています。

1)「新業態」(インターネットなど新手段を利用した業種を跨ぐ新たな形態の企業)の給与水準を 15 業種、82 種の職業技能者の給与水準を加えた。
宅配便、速達便従事者も「新業態」の一種として給与水準に加えた。
2)公共施設管理、社会的サービス業分野、金融業、水利環境事業、衛生業を加えた。
3)調査データが 32 万件を超え、前年比 66.13%増加、データ収集範囲が大幅に増加した。
4)データの正確性と科学的根拠性が高まり、データの利用価値が大幅上昇した。

原文:※説明・一覧表・分析データを含む
http://www.hrssgz.gov.cn/hrssgz/ywzt_ldgx_gzdt/201910/4a67c3e2c98c4779a50304376a508338.shtml

3.東莞市人力資源社会保障局
『2019 年東莞市人力資源市場指導給与水準の通知』

東莞市が(深セン市、広州市と同様に)旧「労働・社会保障部」1999 年公布の『労働力市場指導給与水準制度の通知(原労社部発[1999]34 号』に基づいて発表した 2019 年度の「指導性給与水準」です。

広州市と同様に、給与水準を「10 分位」、「25 分位」、「50 分位」、「75 分位」、「90 分位」の 5 水準で示しています。

原文:※給与水準リストを含む
http://www.dg.gov.cn/007330096/0801/201908/804d4a35327741519625b28eb219fdb3.shtml

4.広州市南沙区人民政府
『広州南沙新区(自貿片区)における人工知能産業発展支援弁法の実施細則の改定に関する通知』

南沙区人民政府が 2019 年 5 月 6 日に区内の関係部門に通知した、「人工知能産業への支援政策の実施細則」の部分変更です。

変更されたのは下記の部分です。
1)第一条:人工知能企業の適格条件の(一)冒頭に「2018 年 1 月 1 日以降南沙に登記した」を追加。

2)第一条:(二)の末尾に「併せて南沙開発区委員会(含む南沙区政府)或いは商務主管部門と投資協議を締結する」を追加。

3)第一条:(三)の「協議」を「投資協議」に変更。

4)第二条全文追加と、それに伴う旧第二条以降の条ナンバーのずれ
<追加条文>
『支援弁法による奨励を享受する人工知能企業は、南沙開発区管理委員会(含む南沙区政府)或いは区の商務、科技、情報化主管部門と投資協議を締結し、投資協議約定の中で、申請予定の奨励類別を定めなければならない。また投資協議の中に定めた奨励類別の通りに申請しなければならない。但し弁法発効日より前に登記した企業はこの制限を受けない』

5)「南沙開発区(含む南沙区)或いは商務主管部門」→「南沙開発区管理委員会(含む南沙区政府)或いは区の商務、科技、情報化主管部門」に変更。

6)「支援弁法の有効期間内」→「2017 年 1 月 1 日から 2021 年 12 月 31 日の期間内」に変更。(第十八条は起点年月日のみ)

7)第十三条(一)3、に「香港マカオ及び外国籍人材は、もし特殊人材奨励を申請しない場合、納税過払い差額に応じた奨励補助金申請を選択しても可」を追加。

8)第十三条(二)1、「重点発展領域人材」→「高級管理、核心技術人材」に変更。
「相当クラスの職務の高級管理人員とは、企業本部の董事会メンバー或いは国有資産監督管理部門が任命した管理層、財務責任者、上場会社董事会秘書、総経理助理、総法律顧問等、企業の経営層の党委員会書記、副書記、紀律検査委員会書記、及び関連業界監督管理部門が認定した或いは公司定款で規定した高級管理人員」の一文を追加

9)第十三条(二)2、「高管人材」→「高級管理、技術人材」に変更。

10)第二十八条(五)「市場監督管理局」→「政務サービスデータ管理局」に変更。

11)第四十四条全文追加:
「本弁法大十八条、第二十条で言う『新しく南沙に登記した』とは、『本区に新規登記し、新規居住した』人工知能企業、即ち『2017 年 1 月 1 日以降に南沙区に登記し、新規居住した』人工知能企業を指す。」

12)第四十五条全文追加:
「本実施細則は公布日から施行し、有効期間 2021 年 12 月 31 日まで。同時に『広州南沙新区(自貿片区)における人工知能産業発展支援弁法の実施細則の改定に関する通知(穂南開商務規字[2019]2 号』を廃止する。本実施細則の有効期間内に法律、法規或いは政策調整変化があった場合は、その規定に従う。本実施細則有効期間満了の時は、実情に基づいて評価修正を行う」

原文)
http://www.gzns.gov.cn/xxgk/lanhe/201911/t20191107_396281.htm

5、珠海市工業情報化局
『珠海市が実体経済の高品質発展をさらに支持することに関する若干の政策措置の通知』

珠海市の企業支援政策の強化に関する政策措置で、主に下記のような支援政策が示されています。
1)企業自社所有地での開発センター、人材・従業員宿舎建設奨励:
・「新型産業用地」、「企業孵化器用地」の優遇政策を享受。

2)工場建屋拡張・質の向上支援:
・戦略性新興産業の建築面積奨励を 200 元/平米までに上方修正。遊休土地への投資に対する土地賃貸料補助。

3)世界 500 強企業報奨金:
・米国「フォーチュン」誌 500 強企業へ入選企業に一回性報奨金 3,000 万元支給。

4)小規模企業の業容拡大奨励:
・条件を満たした小規模企業に、達成初年度 10 万元支給。2 年目、3 年目優遇など。

5)「工業生産額百億元級リーディング企業」、「十億元級基幹企業」、新招聘企業、新興産業企業への利息補助:

6)技術改造支援強化:
・新設備設置額に最高 20%補助、知能化技術改造に最高 25%補助。

7)知能化改造奨励:
・珠海市知能製造モデル項目の対象企業に 500 万元、200 万元、100 万元の奨励金。

8)企業信貸リスク補償資金規模、範囲拡大:
・リスク補償資金 3 億元まで増加、その後段階的に 10 億元まで増加。貸付損失補償 50%など。

9)担保融資への支援強化
・ 中小企業ローンの担保提供額の 2%までの補助。

本政策は 2019 年 11 月 1 日から施行、有効期限 2022 年 12 月 31 日まで。

原文)
https://www.chacewang.com/news/detail/38529

6.中国共産党中央・国務院
『深センで中国の特色ある社会主義モデル地区を先行して建設する事の支持に関する意見』

深センを“社会主義新時代の改革開放の旗幟”として、中国社会主義建設の先行モデルエリアの建設を支持し、“中華民族の偉大な復興”という“中国ドリーム”の実現に供するという基本思想が示されています。

「広東・香港・マカオグレートベイエリア戦略」にとって有益であり、「一国二制度」事業発展の新たな実践と強調されています。

2025 年までに「経済的実力、世界の前列に立つ発展の質、産業イノベーション世界一流の実現」、2035 年までに「都市総合経済競争力世界トップ、全世界に影響力のあるイノベーション創業の都市、社会主義現代化強国の模範都市の実現」、今世紀中期までに「先進性、競争力、イノベーション力で全世界のモデルとなる都市の実現」を発展目標としています。

発展戦略として主に下記のような事項が示されています。

イノベーション駆動発展戦略:“産学研”融合のイノベーション、5G、人工知能、インターネット空間科学、生命情報/生物医薬学、海外人材の導入

現代化産業体系構築:未来通信先端機器、高性能医療器械、デジタル経済イノベーション試験区、金融サービス、香港・マカオ金融市場との相互融合金融(基金)、人民元国際化、クロスボーダー金融

改革開放構造の深化:ハイレベルの自由貿易試験区、開放型経済新体制確立、国際組織・機関の深センへの誘致、国際体育・文化事業、グローバル海洋センター都市、国際海洋開発銀行設立

広東・香港・マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)建設支援:対香港・マカオ開放レベルの拡大、前海深港現代サービス業合作区、珠江口東西両岸融合

また、本通知では特に「公平で正義に基づく民主法治環境の創設」が強調されており、“民主法治レベルの向上”、“党指導のもと人民の政治参加拡大”、“社会主義協商民主制度強化”、“経済特別区立法権”などが盛り込まれています。

その他のキーワードとして、「グレートデータ、クラウド計算、AI 技術による社会の知能化管理」、「深セン・香港・マカオ共催の多様な形式の文化芸術活動」、「旅行業・国際観光船港」、「国際ライナー船」、「教育医療事業」、「生態文明制度」などが記されています。

以上のような国務院の『意見』に呼応して、広東省政府が公布したものが、『中共中央・国務院の「深センで中国の特色ある社会主義モデル地区を先行して建設する事の支持に関する意見」を真剣に学習宣伝貫徹する事に関する通知』です。

原文)
http://www.gov.cn/xinwen/2019-08/18/content_5422183.htm

広東省政府が国務院の『意見』に対して公布した通知)
http://news.southcn.com/gd/content/2019-08/23/content_188755563.htm

7.広東省人民政府
『改革の深化により「三旧」を改造し発展を加速推進することに関する指導意見(粤府[2019]71 号)』

「三旧」(旧市街、旧工場建屋、旧村落)改造(旧式の土地/建物の改造・有効利用)の促進に関し、広東省人民政府が各市級の政府、省内関係部門、省直属機構に対し公布した通知です。

下記の 12 項目を指令しています。

指導思想:習近平国家主席の広東重要講話、党中央・国務院の「都市市街低効率用地再開発の推進の政策決定部署と市場化運用規律」など

業務原則:人民第一、利民恵民、“移転先手配後の撤去解体”、改造モデルの統括管理、用地交易プラットフォームの完備、農村集団経済組織と農民の積極性・主導性、など

イノベーション計画管理制度:三旧改造の詳細計画調整、建設用地規模調整メカ
ニズム

イノベーション審査申請/批准メカニズム:三旧用地申請/批准手続き簡素化、部分改造の審査手続き改善、区域評価制度

全域全面改造への支持:コスト/収益バランス原則による容積率決定、用地条件制限により損益バランスが得られない用地に対する政府補助を通しての転地、公共事業、教育医療養老体育用地の確保義務、国有地との混合改造

用地コストの低減支持:多種の地価計算方式の採用、地価の差別化、イノベーション・創業/科学技術孵化器/研究開発などの用地の地価の優遇、など

利益配分の改善支持:土地増値税補助政策、「工改工」(旧工場地を高効率の新工場地に改造する)、公益性改造への奨励金制度強化、改造プロジェクトへの徴税負担の軽減、など

改造促進措置の強化:低効率用地の運営コストアップ政策、電力/用水/排水処理の差別化、などの“外圧政策”による自主的改造の督促

行政司法保障の強化:政府裁決/司法裁判実行、「中華人民共和国土地管理実施条例」、「国有土地建物接収と補償条例」に準拠する処置、法規に規定がない場合の政府裁決、撤去/転地において土地建物権利者多数存在の場合の一定比率以上の同意での実行(具体規定あり)、など

プロジェクト実施監督の強化:改造プロジェクト協議の監督管理/他部門による連合監督管理体制確立、工事全工程の情報開示、三旧改造プロジェクト批准結果と準拠法規公開

市県政府の主体責任、関係部門の協調共同の強化

本通知は 2019 年 9 月 30 日施行、有効期間 5 年間です。

原文)
http://www.gd.gov.cn/zwgk/wjk/qbwj/yf/content/post_2595862.html

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