【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.153

2021-11-19

【中国ビジネス・トレンド】

1. 上海市生態環境保護“十四五”計画(滬府発[2021]19 号)

『上海市国民経済社会発展 14 次五か年計画と 2035 年長期目標要綱』の第 13 項「高品質な生態環境確保、居住に適した 生態環境の都市建設加速」に基づき策定された、上海市の生態環境政策の 14 次五か年計画です。 2025 年(14 次五か年計画期間)までの、陸・海・空(生活上下水/地表水/土壌/緑地/農地/電力源・沿岸/海水 /港湾/炭素/有害物質/微粒子/雨水防災/エコ物流など)の項目毎に達成すべき数値や等級水準を示しています。 具体的には、合計 20 項目の「“上海市 14 次五か年計画”生態環境保護主要指標」が示されており、“約束性”(必須達 成)が 12 項目、“予期性”(達成目標)が 8 項目となっています。

また全社会的な環境管理・監視の強化のため、「行政幹部」「企業」「住民・生活組織全体」の仕組みの構築として、産業構 造転換・エコ省エネ改造、鉄鋼・セメント・化学工業・石油化学など規制厳格化、低技能労働集約・ローエンド加工・用地利 用非効率型企業の転換や、環境問題・違法行為のメディアでの暴露、生態環境損害賠償・公益訴訟制度などが掲げられていま す。

また環境レベルの向上の“牽引区域”として、「長江デルタ生態緑色一体化発展モデル区」、「長江デルタ緑色技術イノベー ション総合モデル区」、「長江デルタ緑色技術イノベーション基地」の建設を掲げ、環保向け投融資サービスプラットフォー ムなど“技術+金融”の環境保護推進の仕組み作りが強調されています。

原文

2. 上海市の高度新技術産業開発区の高品質発展に関する実施意見(滬府規 [2021]9 号)

国務院『国家高新技術産業開発区高質量発展に関する若干の意見』(国発[2020]7 号、20 年 7 月公布)に基づき策定 された、上海市の 2025 年(14 次五か年計画)、35 年(長期目標)までの「高度新技術産業開発区の発展計画」です。 上海市の高度新技術産業開発区は、「張江開発区」と「紫竹開発区」の 2 か所です。

以下の 6 つのテーマで、計 19 項目の指導的な意見と管轄部署・機関が示されています。

1)指導思想、発展目標

“五型経済”(イノベーション型、サービス型、開放型、本部型、流量型)の発展、“デジタル都市”への転身的発展

注:

  • 本部型:企業グループの経営や研究開発の“本部機構”が集まること。
  • 流量型:人・物・情報・資源等が周辺地域から盛んに流入、往来すること。

全世界に重要な影響力を持つ「高度科学技術園区」建設の基本的な完成(25 年まで)、全面的な完成(35 年まで)

2)イノベーション創生能力向上

“国家実験室”の建設加速。国内外の優秀人材の勧誘、優遇

3)イノベーション産業群の育成

「集積回路」「バイオ医薬品」「人工知能」を三大重点産業として、その関連分野への波及的な発展。“一核、両翼斉飛、新 城発力、南北転型”の産業発展空間建設

注:

  • 一核:市中心部
  • 両翼:浦東・浦西、新城:嘉定、青浦、松江、奉賢、南匯
  • 南北:宝山・金山

“特色ある産業群”(デジタル経済、グリーン・ローカーボン産業、新エネルギー車、ハイエンド装置製造、航空・宇宙、情 報通信、新材料)構築

“イノベーション企業優遇”:企業所得税優遇、革新型の小型企業への所得税減免、技術移転利益への減免税、国営企業の革 新型転身への支援

4)イノベーションの協力体制、対外開放の強化

“長江デルタ一体化発展戦略”、長江デルタ区域での生物医薬品産業の連動的な発展(「国家医薬品監督管理局薬品審査評価 検査センター・長江デルタセンター」「医療器械技術審評検査センター・長江デルタセンター」)、「長江デルタ・国家技術 イノベーションセンター」建設

“中国輸入博覧会”、“世界人工知能大会”、“世界トップ科学者フォーラム”等

5)高品質発展環境の造成

行政管理体制改革、土地資源の効率的配分(技術センター等イノベーション関連施設の用地の 50 年専用使用権、容積率 3.0 以上、容積率増加分と地下空間の土地使用料免除、など)

デジタル経済化転換(5G 通信、IoT、ビッグデータ、物流、など)、グリーン・ローカーボン産業への転換、金融サービス機能強化(政策性ファンド、上場投資信託、政策性融資担保、など)

6)組織管理強化

園区管理の“動態的調整機能”付与。園区発展の状況評価と警告・淘汰等 (原文

3. 上海グローバル資産管理センター建設の加速に関する若干の意見(滬府弁規[2021]6 号)

「上海国際金融センター」の波及力・影響力を増強し、2025 年までに「開放型の資産管理センター」を建設し、上海を 「アジアの金融資産管理の重要な枢軸」に育てることを主旨とした、上海市政府の指導的意見です。 「4 つの優れた特色の総合金融都市」を創り上げるという目標を掲げています。

6 つのテーマ、合計 19 項目の重点措置、その要点は下記の通りです。

1)整備された「資産管理機構」体系、豊富な資産管理業種の集合

  • (1)多様な誘致対象業種:銀行理財、保険資産管理、金融資産投資、証券、ファンド、信託投資、先物取引、プライベート 銀行・信託・基金、など
  • (2)外資独資、合資の奨励(証券、基金、養老年金資産管理、理財など)
  • (3)中小規模の支援、「資産管理機構」発展育成基金、プライベート・エクイティ・ファンド、プライベート証券投資基 金、など
  • (4)専門機構のサービス体制完備・向上(投資信託管理、仲介、投資評価等)、「投資戦略・リスク管理制度」

2)創新的な資産管理サービス・金融商品(投資者ニーズ多様化対応)

  • (1)不動産投資信託基金(REITs)、上場投資信託(ETF)、資産管理機構の“養老基金”“企業年金”等への参 入、革新的な養老基金・養老信託商品充実
  • (2)金融資金管理機構の専業子会社の“自貿区臨港新片区・長江デルタ重点建設プロジェクト株式所有権”“未上場企業株 式”への投資の支持・奨励
  • (3)環境保護・省エネ分野の金融商品(ESG 商品)の拡充、カーボン金融(排出権取引)、天候デリバティブなど
  • (4)資産管理のデジタル化(AI、ブロックチェーン、IoT、5G デジタル)

3)世界的金融資源の配置・リスク管理能力レベルアップ

  • (1)債券市場の対外開放、外国為替取引、金融派生商品(外貨スワップ、人民元オプション取引など)、国債先物取引、特 定国際化商品(エネルギー、ケミカル、非鉄金属等)先物取引、株価指数オプション取引など
  • (2)海外投資家向けの銀行間債券市場参入の多元的サービス提供、グローバル企業の世界資金管理センター奨励、海外主要 市場との市場監督・管理の連携・協力

4)対外開放拡大、資産管理の国際化レベル向上

  • (1)「国際金融資産交易プラットフォーム」建設、社会保険基金、養老保険基金など国内/国外からの長期資金流入の推 進、一般市民向け“クロスボーダー理財商品取引ルート”構築
  • (2)優秀な資産管理機構に対する「国内機関投資家(QDII)」認可、上海市の資産管理機構の海外での機構設立、買 収、資本参加の奨励
  • (3)QFLP(適格外国人有限責任組合員)と QDLP(適格国内有限責任組合員)のトライアルポイント拡充、QFLP の国内人民元基金への投資推進、QDLP の私募証券投資基金への投資支持
  • (4)市の資産管理機構の海外証券/基金投資支持、クロスボーダー人民元交易推進、臨港新片区の資産管理機構のクロス ボーダー資金管理方式研究
  • (5)資産管理数値データの国内外の流動の安全評価と分類管理の仕組み構築

5)金融資産管理のエキスパート人材の育成、人的資源の確保

  • (1)国外の一流機構からの人材招聘、行政(永久居留民証等)・生活面(住宅提供等)の優遇
  • (2)業界の自主的な専門資格訓練、「上海金融人材実践基地・訓練基地」、「人材データバンク」構築

6)総合サービス力アップ、資産管理環境整備の推進

  • (1)「上海金融法院」、知的財産権保護の強化、「中小投資者サービスセンター」、「上海金融仲裁院」、
  • (2)資産管理機構の“人民銀行信用情報システム”、“証券監督管理委員会・資本市場信用情報データベース”の情報の使 用許可、“上海市ビッグデータセンター・公共データ公開プラットフォー- ム”との相互情報共有支持
  • (3)「資産管理業界集積地」(“一城一帯一片区”)、「世界資産管理センター」、専門コンサルタントの諮問、
  • (4)資産管理国際フォーラム、専門大学、「資産管理研究機構」 (原文

4. 輸出入交通手段と通関検問所の新型コロナウイルス肺炎防疫消毒処理業者の監督管理業務に関する公告(中華人民共和 国 上海税関公告 2021 年第 1 号)

出入境交通手段と輸出入口岸(港、出入境審査場、国境検問所など)の新型コロナウイルス肺炎の消毒処理業務が、2021 年 8 月 11 日から全面的に「消毒処理業者」に任されることに伴う監督管理業務に関する公告です。

出入境輸送企業(代理業者を含む)、空港・港湾の運営者は、出入境輸送手段、貨物、場所の消毒処理に対し主体的な責任を 負い、税関は法に基づく監督管理を強化するとしています。 準拠法は「国境衛生検疫法」、「出入境植物検疫法」、「食品安全法」とそれらの実施条例などの法規、及び税関総署の関係 規定です。

「消毒処理業者」は、消毒の品質、安全、人員管理、環境保護・生態安全に対し法的責任を負い、技術的要求を満足する人員 を配備し、PCR 検査とコロナワクチン接種要求を遵守、また消毒人員配置、薬剤濃度、処理器械、防護規範、封鎖時間等全 て“終末消毒規範”(徹底消毒)の規定遵守を要求しています。

「消毒処理業者」は処理後「消毒処理結果報告書」の提出と廃棄物の規定に従った厳格処理が要求されています。

また「税関総署」、「国家衛生健康委員会」、「上海市新型コロナウイルス肺炎防疫業務指導小組弁公室」の規定に従った厳 格で高度な作業人員安全防護管理が求められます。

「消毒処理業者」は“消毒効果”と“環境/生態の安全”の評価を行い、これらを保証する法的責任を負います。

「消毒処理作業記録」、「消毒処理結果報告書」、「消毒処理方法と効果の評価」などの関係資料を、3 年間保存しなければ なりません。

原文

5. 長江デルタ生態緑色一体化発展モデル区の共同建設に関する若干の意見(滬市監総合 20210906 号)

“長江デルタ経済圏”を形成する上海市、江蘇省、浙江省の市場監督管理局が連名で公布した「経済発展と生態環境保護を一 体化した発展のモデル区」を共同で建設するという主旨の指導的意見です(有効期間は 2023 年 12 月 31 日まで)。

<補足・備考>「長江デルタ生態環境の緑色一体化発展モデル区」:上海市青浦区、江蘇省蘇州市呉江区、浙江省嘉興市嘉善 県に跨る、面積約 2,300 平方キロメートルの区域

『長江三角州区域一体化発展規画綱要』と『長江三角州生態緑色一体化発展モデル区総体方案』に基づき、合計 17 項目の意 見を示し、その責任組織・部門を記しています。

  • 1)「長江デルタ市場監督管理連席会」の枠組みの中、モデル区市場監督管理の協力行動の仕組み構築。「一市両省」(上海 市/江蘇省/浙江省)の監督管理局とエリア現場の「両区一県」(青浦- 区/呉江区/嘉善県)との連携関係の樹立。
  • 2)行政処理簡素化:行政手続きの“インターネット一括対応”、企業の各種申請の“一括照合・多用途対応”
  • 3)行政改革と権限委譲(一部の低リスク食品認可の“告知承諾方式”。薬品の卸売り許可、化粧品生産許可、など)
    • 国家薬品監督管理局優先審査・特別審査の対象薬品・医療器械の審査プロセスの専門員登録制と全工程追跡サービス
  • 4)市場監督管理の公共データのデジタル化/スマート化:統一情報プラットフォーム建設、オンライン/オフライン統一管 理、AI 動画アルゴリズム分析、など
  • 5)企業信用データの統一管理:統一的賞罰メカニズム構築、監督管理部署の連合管理の常態化(1 年 2 回の“抜取り行政検 査”の共同抽出)
  • 6)食品安全監督管理のイノベーション:「長江デルタ食品安全教育基地」、学校の食品安全管理、スマート厨房、など
    • 小規模レストラン、食品店の軽微な違法行為に対する簡易処罰プロセス
  • 7)法務執行の連携対応:「市場軽微違法経営行為の処罰免除リスト」統一管理、公正競争妨害、民生に係る違法行為への法 務執行の連携、など
  • 8)“安心消費”モデル区(消費者の安心な消費への対応企業の指導育成など)
  • 9)“優良品質”モデル区(上海ブランド、江蘇良品等の育成・指導など)
  • 10)国家級・省級の「産業計量測定センター」建設:長江デルタの産業発展のための計量学的分析データの提供
  • 11)モデル区管理の“スタンダード化”:生態環境、公共サービス、公共指標数値など区の統一的な標準の設定(「エリア スタンダードリスト」作成)
  • 12)「グリーン認証(製品・サービス)」の先行地区:生態環境保護/省エネ/健康の適合製品の認証、「グリーン認証リ スト」「認証実施目録」作成
  • 13)医薬品イノベーションと柔軟な審査対応と各種の行政支援サービス(オフライン/オンライン、出張訪問)、医薬品か ら医療器械、化粧品まで対象拡大
  • 14)薬品・医療器械の技術掌握・支援能力アップ:「薬品・医療器械検験測定機構」建設、薬品・医療トラブル観測、警戒 システム、など
  • 15)「中国(長三角生態緑色一体化発展モデル区)知的財産権保護センター」
  • 16)“知的財産権金融サービス”:知的財産権の証券化など、科技イノベーション企業の上場、債券、投資に関する諮問・ 支援
  • 17)市場監督管理の基礎部分の強化:現場・末端組織の規範化、市場監督・行政サービスのイノベーション、学習訓練

原文

6. 企業名称“申告承諾制”改革に関する実施意見(滬市監規範[2021]8 号)

従来「事前審査・許可制」だった企業名称の登記の企業の「自主申告・承諾制」への変更、並びに変更に必要な仕組み・シス テム、行政管理体制、紛争への対処方法を示した指導的意見です。 目的は、急増傾向の企業設立・企業名登記申請に対応するための行政処理の簡便化、企業の手続き面の負担軽減、創業・起業 の奨励です。

上海市は 2017 年から浦東新区、自由貿易試験区、臨港新片区で「企業名自主申告」の先行トライアルを行い、18 年から 全市にわたって全面実施しました。 その過程で明らかになった問題点(企業の盲目的申請とそれに伴い発生する企業間の権利侵害・紛争などのトラブル、行政実 務の無駄な消耗)を、21 年 2 月以降、“公聴会”“法律専門家諮問”“関係機関意見聴取”、さらにウェブ官報を通じ一般 社会からの意見も聴取した上で、意見書を完成させたとしています。

本意見書の要点は、主に以下の通りです。

  • (1)「自主申告・承諾制」の申告者の責任と遵守すべき義務の明記。
  • (2)「企業名自動比較システム」が設定され、申告者自身が、他に重複や類似の名称が登記されているか否か、禁止字・語 の有無等の情報検索、類似名称による法的リスクの確認検討が可能。
  • (3)申告者は自主申告により登記した社名の法的リスクに責任を負う。登記の際登記機関は改めて人手による判断を行わな い。(事後の管理のみ)
  • (4)企業名称に起因する紛糾、不正競争、権利侵害等のトラブルの際、人民法院又は管轄の市場監督管理部門のどちらにで も訴え出ることが出来る。 (人民法院か登記機関から企業名使用停止命令を受けた場合、通知受理から 30 日以内に名称変更が必要)

本通知は 21 年 9 月 6 日から実施、有効期間は 26 年 9 月 5 日までの 5 年間。

これと同時に、先行トライアル地区に対する指導意見書(滬市監規範[2020]8 号)は廃止されました。

原文

7. 企業の“貿易型本部”の設立奨励に関する若干の意見(滬商規[2021]5 号)

上海市の 14 次五か年計画・2035 年長期計画で重点項目とされる「五型経済」の一つ、「本部型経済」の発展のための 「貿易型本部」の設立奨励に関する指導的意見書です。

「五型経済」とは、「イノベーション型経済」(技術革新)、「サービス型経済」(消費者ニーズ)、「本部型経済」(企業 統括拠点)、「開放型経済」(国内外市場結合)、「流動型経済」(人材・資金・技術往来促進)を指します。

本意見書は「貿易型本部」を“中国内外の企業が上海市に、自社グループ全体の購買、配分、販売、決算、物流の単一或いは 総合的機能を持つ本部機構”と定義し、その機能の支援のためのサービスを、市発展改革委、財政局、経済・情報化委、地方 金融監督管理局、外貨管理局、税関など、市の多くの部局に指示しています。

「貿易型本部」の認定条件は、上海市に登記した独立的な法人で、且つ下記の条件の1つを満たすことです。(但し所在地区 の経済発展に突出した貢献が有る場合、条件は検討の可能性あり)

  • (1)国内卸売り/小売りを主たる営業項目とし、その営業収入が総収入の 50%以上、且つ前年度の営業収入(販売収入) が 100 億人民元を超す。
  • (2)国際貨物貿易を主たる営業項目とし、その営業収入が総収入の 50%以上、且つ前年度の営業収入(販売収入)が 60 億人民元を超す。
  • (3)物流/貯蔵或いは国際サービス貿易を主たる営業項目とし、その営業収入が総収入の 50%以上、且つ前年度の営業収 入(販売収入)が 40 億人民元を超す。
  • (4)“プラットフォーム交易”(オンライン売買、取引などを仲介する交易プラットフォーム)を主たる営業項目とし、そ の登録会員又はプラットフォーム利用企業が 5,000 社以上で、且つそのうち上海市以外の企業が 30%を超し、且つ消費 者向けのプラットフォーム企業の年間交易額が 50 億元を超す、又は企業向け(BtoB)プラットフォーム企業の年間交易 額が 150 億元を超す。

「貿易型本部」を対象とした資金援助、奨励の取り組み/仕組みが示されています(上海市対外経済貿易発展専用資金、サー ビス貿易発展専用資金、高度新技術成果転化資金、信用保険金融を利用した国内外の市場開拓、など)。

人材確保面の優遇措置では、出入境管理簡便化、招聘外国人への 3 ~ 5 年の居留許可証、外国人高級管理職への永久居留証の 優先取得、国内の優秀人材へ上海市戸籍許可など)

各区は区在住の「貿易型本部」に対し「企業信用情報プラットフォーム」を利用した“動態管理”を行い、「貿易型本部」認 定企業が条件を満たさなくなった場合は資格取り消しを行うとしています。

本意見書は 2021 年 9 月 1 日施行、有効期間は 26 年 8 月 31 日までです。

原文

8. 上海市対外経済貿易発展専用資金の使用と管理弁法(滬商規[2021]6 号)

上海市の財政予算から拠出される“対外貿易発展専用の助成資金”の使用範囲、重点分野、支出方法/限度額、並びに審査方 法、支出先信用管理、効果・実績把握など行政管理方法を定めた弁法です。

● 使用範囲:対外経済貿易の重点領域と重要な要となる項目(対外投資の質の向上、リスク防御、公平・安全確保)

  • (1)新しい貿易業態支援、革新的な貿易機能・行動能力育成、公正な競争秩序・環境支援
  • (2)「一帯一路」推進、市内企業の対外進出支援、グローバル産業チェーン構築、海外請負工事の受注・レベルアップの奨 励、海外労務契約・対外援助/訓練等

● 支援サービス:資金提供の業務刷新の推進、金融支援業務レベルアップ

  • (1)企業信用保証・担保など金融機関のサービス機能強化、革新的な金融商品とサービスの奨励
  • (2)対外経済貿易推進のための公共サービスの仕組みの構築、公共サービスプラットフォーム設立、対外貿易・投資合作・ 公正貿易に関する公共サービスの各種専門組織への委託

● 支援方式と資金限度額:毎年状況分析、「資金申請ガイダンス」公布、資金支援方式説明

  • (1)支援方式:資金の直接提供、利息補填、政府公共サービス業務の民間委託
  • (2)支援限度額:
    • 直接資金提供:単一項目への支援比率 50%以下(「資金申請ガイダンス」で別途規程あるものを除く)
    • 利息補填方式:資金申請締切日当月の中国人民銀行が発表する相応のローン年限のプライムレート(LPR)の 50%以下 (人民銀の LPR と実際のローン利率のうち低い方の利率)
    • 公共サービス委託:公共サービス委託に関する関係規定に従う。

● 審査、公布、支給:市商務委員会が申請受理、一次審査(必要に応じ専門機関に審査・評価委託)、一次審査で選出した支 援対象・案を市財政局に提出。 合格項目を公示(公開に適さない項目を除く)、公示後異議が出なかった項目を正式決定。

● 行政管理:信用情報監視と問題企業への対処、効果・実績把握

  • (1)「上海市社会信用条例」に基づく企業信用情報の把握、問題が発見された企業に対する法的対処、制限。
  • (2)予算/実績管理、効果目標設定/結果トレース、評価

本弁法は 2021 年 9 月 1 日施行、有効期間 5 年間です。

原文

9. 上海市集体合同審査弁法(滬人社規[2021]26 号)

上海市の「集体合同」(労働協約)の審査に関し、管轄(市・区)、必要書類/提出期限、審査期限、保管期間を定めた弁法 の通達文書です。

《審査の管轄(市・区)》

  • 市の管轄:
    • (1)市に所属する国有企業及びその企業が株主として支配権を持つ外資企業
    • (2)登録資本金 1,000 万ドル(又は 1,000 万ドル相当額)以上の外資独資企業(含む香港マカオ台湾の独資)
    • (3)上海市行政区域内で、市の人力資源・社会保障行政部門の審査が必要と思われるその他の「労働協約」
  • 区の管轄:
    • (1)各行政区内の、市の管轄範囲以外の企業
    • (2)各行政区内の、業界又は地域的な組織の共通の労使関係の協約
    • (3)各行政区内の、個体経済組織(個人商店など)、民営の非企業形式の組織

《審査書類提出手順、期限》

  • 「労働協約(草稿)」を従業員代表大会(又は全体大会)で討議。
  • 討議/承認の後、従業員主席代表者が企業側に討議/承認状況を告知。
  • 企業は告知受領後 10 日以内に「労働協約」を所管の人力資源・社会保障行政部門に提出。

《審査期限、資料保管期間》

  • 審査部門は審査申請資料受領後「労働協約受理確認書」を発行。
  • 審査部門が資料受領後 15 日間に“異議通知”を出さなかった場合、その労働協約は有効。
  • 資料保管期間:2 年

本弁法は 2021 年 8 月 16 日施行、有効期間は 26 年 8 月 15 日までです。

原文

10. 『雇用主の労働者就業登記の届出業務の適切な遂行』に関する通知(滬人社就[2021]340 号)

雇用主が雇用する全ての雇用形態の労働者の、就業登記・届出の適切な遂行に関する上海市の通達です。 非フルタイム労働者、派遣労働者、特殊な労働関係にある労働者も含まれ、これらの手続きも通常労働者と同様 です。

雇用主は労働者の雇用から 30 日以内に、市の人力資源・社会保障機構に雇用登記・届け出し、雇用関係解除又は終了の時は 15 日以内に届け出しなければなりません(但し、派遣労働者は、勤務先企業ではなく、派遣元企業が届出)。 “人事?案”(届け出た就業歴記録)の保管と変更(労働者の離職等)は雇用主の責任です。 登記・届出の内容は以下の通り。

  • (1)雇用主組織名称
  • (2)組織の社会信用証コード
  • (3)雇用する労働者の姓名
  • (4)労働者の公民身分証コード
  • (5)雇用主組織と労働者との労働契約の開始/終了の期日
  • (6)労働形式
  • (7)職種・労働内容

雇用主はインターネットを通じてオンライン届け出も可能で、従来の窓口での届け出も可能です。労働者は自身の登記情報 を、労働者は機構の窓口でも、問い合わせ専用電話番号 12333 でも、またスマホ検索でも内容確認可能。

失業した労働者の“?案”(労働履歴の記録)が遺失した場合(雇用企業の廃業や倒産による確認不能のケースを含む)のそ れぞれの記録修復の方法・手順が述べられています。 また、“農村下放で現地結婚した知識青年”が上海市に戻り戸籍を得た時の、農村下放労働期間を労働歴に参入する方法も記 されています。

原文

11. 『江蘇省の最低給与の標準』の通知(蘇人社発[2021]72 号)

2021 年 8 月 1 日から適用される江蘇省の最低賃金の通知です。

  • 《フルタイム従業員・月次賃金》
    • 1 類地区(南京、無錫、蘇州市区など)2020 年:2,020 元/月 2021 年:2,280 元/月
    • 2 類地区(塩城市区、南通海安市など):2020 年:1,830 元/月 2021 年:2,070 元/月
    • 3 類地区(徐州豊県、塩城建湖県など):2020 年:1,620 元/月 2021 年:1,840 元/月
  • 《パートタイム従業員・時間給》
    • 1 類地区:2020 年:18.5 元/時間 から  2021 年:22 元/時間
    • 2 類地区:2020 年:16.5 元/時間 から  2021 年:20 元/時間
    • 3 類地区:2020 年:14.5 元/時間 から  2021 年:18 元/時間

なお、月次給与には残業代、夜勤・高温低温・危険その他特殊労働手当、住宅積立金最低納付額、その他法定の福利手当は含 まれません。在校生の業務実習期間と勤労学生に対する時間給は、パートタイム時間給を下回ってはなりません。 別表「江蘇省全省最低賃金一覧表」が添付されています。 (原文

12. 『江蘇省電子労働契約適用の手引き』 に関する通知

人力資源社会保障部の『電子労働契約設定の手引き』(人社庁[2021]54 号)に基づき、江蘇省の人力資源社会保障庁 が公布した“電子版労働契約書”の規定並びに取り扱い方法を示した手引き文書です。

要点は下記の通りです。

  • 電子版労働契約は、一般的には政府部門或いは市場が自主的に設定した“第三者”の「労働契約情報サービスプラット フォーム」を使って作成しなければならない
  • 企業が自前でプラットフォーム設定することも許されるが、関係規定、要求される技術水準を満足しなければならない
  • 「政府部門」のプラットフォームの使用を奨励する
  • 省の公益プラットフォーム『江蘇人社一体化電子労働契約サービスプラットフォーム』は無料で電子契約や電子版雇用協議 書が出来る
  • 『情報安全等級保護管理弁法』(公通字[2007]43 号)の第三級の要求に従ってシステムの安全管理を行うこと
  • 電子版労働契約締結後、雇用主は直ちに携帯電話ショートメールやアプリ、ウィーチャット、電子メールなどで労働者に契 約成立の通知し、労働者が電子契約をダウンロードして保管するよう示しなければならない
  • 労働者が電子版契約のペーパーコピーを要求した時は、雇用主は最低 1 回無償で提供すること

原文

以上