【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.158

2022-02-07

【中国ビジネス・トレンド】

以下の重要規定に関して解説します。

1. ビジネス環境革新のモデル業務展開に関する国務院の意見(国発[2021]24 号)

党中央と国務院はビジネス環境の最適化を重視しており、これまでの一部の地域による国際標準を目指した積極的な取り組みは、全国におけるビジネス環境改善のモデルとなってきました。今後も条件を満たす地方がさらに高水準のビジネス環境革新を進められるように出された国務院の意見となります。

1)最初のモデル都市は北京、上海、重慶、杭州、広州、深センが選ばれ、3 ~ 5 年後にビジネス環境の国際競争力を世界トップレベルにすることが目標とされています。 2)革新のためのモデル業務に関して、以下の措置が規定されています。 (1)不合理な制限を更に排除する (2)市場主体の参入及び退出制度を更に開放し透明化を進め、規範化して効率的にする (3)投資及び建設の利便化を継続的に向上させる (4)市場主体の革新発展を更に支持する (5)越境貿易を更に利便化する (6)外資投資及び国際人材服務管理を最適化させる (7)公平競争の秩序を維持する (8)監督管理を更に強化して革新する (9)市場主体の財産権及び合法的権益保護をより健全化させる (10)定期的な企業関連サービスをより最適化させる

原文

2. 認定輸出者管理弁法(税関総署令 254 号)

認定輸出者とは、自身が生産、輸出する、特恵貿易協定の原産資格を有する貨物に対して、原産地証明書を発行することができる税関認定企業です。 認定輸出者は次の条件を満たす必要があります。 ・税関高級認証企業であること ・関連する原産地規則を把握していること ・完全な原産資格文書管理制度を構築していること

認定輸出者のなるための申請は、以下の内容を所在地の税関へ書面で申請する必要があります。 (1)中文・英文の社名、住所、統一社会信用ナンバー、税関信用等級、企業類型、連絡担当者情報など (2)主要輸出貨物の中文・英文名称、規格型式、HS コード、適用貿易協定及び原産地基準貨物に使用される全材料・部品の組成状況など (3)関連する貿易協定の原産地規則を把握していることの承諾声明 (4)完全な原産資格文書管理制度を構築していることの承諾声明 (5)原産地証明書に押印する印鑑の印影 認定の有効期間は 3 年間となり、期間満了 3 か月前から延長申請ができ、毎回の延長期間は 3 年間です。

原文

3. 通関単位備案管理規定(税関総署令第 253 号)

通関単位とは、本規定に従い税関に届け出された、輸出入貨物の荷受・荷送人、通関企業を指します。届出を行った通簡単位が中国国内で通関業務に従事することができます。 輸出入貨物の荷受・荷送人、通関企業で届出をする場合は、市場主体資格(中国国内で営利目的の事業活動を行うための資格)の取得が必要であり、輸出入貨物の荷受・荷送人は対外貿易経営者登録も必要とされます。通関単位備案を行った輸出入貨物の荷受・荷送人、通関企業の条件を満たす分枝機構も通関単位備案の申請が可能です。

従来は、通関企業(他社のための代理通関)と輸出入者(自社のための通関)の二重身分は禁止されており、どちらかを選択する必要がありました。なお、例外的に保税区域の通関企業は自社の輸出入権(保税区域内の権限行使のみで、区外での自社輸出入行為はできない)を持つことができ、区外の通関企業は自社輸出入権を持てませんでした。 今回この制限が廃止され、保税区域外の一般区域の通関企業でも自社輸出入権を持つことができ、さらに保税区域外でも二重身分が行使できるようになりました。ただし実務運用については今後の状況を確認する必要があります。

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4. 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づく輸出入貨物の原産地管理弁法(税関総署令 255 号)

本弁法は、中国と他のメンバー国との間で、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づき輸出入される物品の原産地管理に適用されます。

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5. 納税信用評価及び回復関連事項に関する公告(国家税務総局公告 2021 年第 31 号)

納税信用ランクは、国家税務総局公告 2014 年第 40 号・国家税務総局公告 2018 年第 8 号を根拠としており、A 級(優良)、B 級(正常)、M 級(新設)、C 級(厳格管理)、D 級(重点監督管理)の 5 分類となっています。 特定の要件に該当し、納税ランクが D 級に降格された納税者の信用回復申請の要件、「納税信用回復関連事項に関する公告(国家税務総局公告 2019 年第 37 号)」に列記された条件に合致する納税者の納税信用等級および信用喪失行為の回復はその規定に従うことなどが規定されています。

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6. 特許権質権設定登記弁法(第 461 号)

特許権に対する質権設定登記を規範化するための弁法で、2010 年版(国家知識産権局令第 56 号)の改定版となります。 当事者は郵送や窓口での提出方法のほかに、オンラインでの電子資料提供での手続きも可能と明記されました。 質権設定申請者は、国家知識産権局へ以下の書類を提供する必要があります。 (1)質権設定者及び質権者双方が署名又は捺印した特許権質権設定登録申請書 (2)特許権質権設定契約書 (3)当時者双方の身分証明書、または当事者が署名した承諾書 (4)委託代理する場合は、委託権限を明記した委託書 (5)その他 主管当局は申請書を受理してから 5 営業日以内に審査して登記できるかどうかを決めると規定されています。

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7. 商標審査審理ガイドライン(国家知識産権局第 462 号)

商標の審査審理プロセスの規範化、各段階の適用法律の統一、及び基準一致を保障するため、国家知識産権局により制定されたガイドラインで、2022 年 1 月から施行されます。同時に「商標審査及び審理標準」は廃止されます。 本ガイドラインは、上編「形式審査と事務手続編」、下編「商標審査・審理編」の構成となっており、上編の項目建ては下記の通りです。 上編「形式審査と事務手続編」 (1)商標申請形式審査 (2)商品・サービス及び商標検索要素の分類 (3)その他商標業務審査 (4)マドリッド商標国際登録審査 (5)商標申請事務処理 一方、下編「商標審査・審理編」では、審査・審理に適用される基本原則や各状況(使用を目的としない悪意のある商標登録申請、同一商標・類似商標、立体商標、音声商標、ほか)における審査・審理について詳細が規定されています。

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8. 国内外貿易製品「同線同標同質」業務の推進に関する通知(国市監認証発[2021]76 号)

国内外貿易製品「同線同標同質」とは、同じ規格と品質要求に従って同一の企業で生産される、国外の特定の目標市場の要求を満たし、国内でも販売可能な製品を指します。 近年、党中央と国務院は「三同」業務の推進を提唱しており、「中華人民共和国国民経済と社会発展第十四次五カ年計画及び 2035 年の長期目標概要」においても、「同線同標同質」の推進が明確にされています。 本通知では、「同線同標同質」業務の推進のための以下の方針が示されています。 (1)良好な政策及び発展環境を作る (2)統合的な技術サービスの提供を呼びかける (3)「三同」製品の発展を促す (4)「三同」製品の販売の推進 (5)各関係者の責任履行を促す (6)「三同」業務の共同推進 (7)宣伝強化

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9. 中小企業に対する救済措置のさらなる強化に関する通知(国弁発[2021]45 号)

原材料価格の高騰、受注不足、雇用の困難と高コスト、売掛金の回収遅れ、物流費の高騰、新型肺炎の流行、一部地域での停電や規制などの影響を受け、経営が困難になっている中小企業に対する支援措置となります。 本通知では、主に以下の 9 つの面から措置が提案されています。

(1)資金支援強化:中小企業救済基金の手配、社会保障費助成、融資担保コスト削減など (2)減税コスト削減:月商 15 万元以下の小規模納税者に対する増値税免除、中小零細企業に対する所得税減税、研究開発費の追加控除、固定資産の加速償却、科学技術イノベーションの輸入支援などの税制優遇措置など (3)金融政策ツールの有効活用:運転資金貸付支援、貸付金の返済猶予など (4)原価上昇の圧力緩和:買い占めや価格つり上げなどの違法行為の取締り、中国の主要輸出航路における定期船会社のキャパシティ供給の安定など (5)電力使用の保障強化:安全で安定したエネルギー供給の保証など (6)企業雇用の安定と拡大支援:社会保障補助金や訓練補助金など (7)中小企業の支払い保証:市場支配的地位を悪用した悪質な支払遅延への共同懲戒処分など (8)市場ニーズの拡大:生活分野と新しいインフラ建設への投資拡大、越境 EC など新しい形の対外貿易を活用など (9)責任強化

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10. 徹底的な汚染防止の戦いに関する中共中央・国務院の意見

生態環境保護をさらに強化し、汚染防止と制御の戦いを深化させるための中共中央・国務院による意見です。主な項目として以下が挙げられています。

(1)2025 年及び 2035 年の長期目標の確立 (2)低炭素・グリーン発展の促進を加速する (3)空気汚染、騒音、オゾン汚染等の防止対策を強化する (4)生活排水汚染、地表水汚染等の防止対策を強化する (5)農地汚染防止及び建設用土壌汚染防止、緑地管理等を強化する (6)生態環境安全を有効的に維持する (7)生態環管理が近代化レベルを向上させる

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11. 全国一体化政務サービスプラットフォームモバイル端末の建設指南に関する通知(国弁函 [2021]105 号)

全国一体化政務サービスプラットフォームのモバイル端末による利用をさらに強化・標準化し、より多くの政務サービスをオンラインで行えるように推進するため策定されたガイドラインです。

目標として、2022 年末までに、すべての省(自治区、中央政府直轄市)と国務院各部門が国家政府サービスプラットフォームのモバイル端末に接続し、モバイル政府サービスの能力を大幅に向上させ、国家政府サービスプラットフォームのモバイル端末を総合ハブとする統合プラットフォームを形成するとあります。 また、企業や民衆が高頻度で利用するサービス事項をリスト化し、そのリスト内の事項が「手のひらで完結できる」ことの実現促進や、政務サービスプラットフォームモバイル端末の基準規格、リスト管理、身分認証、データ共有、応用管理の統一化が提案されています。

原文

以上