【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.162

2022-04-11

【中国ビジネス・トレンド】

以下の重要規定に関して解説します。

1. 「十四五」市場監督管理現代化計画(国発[2021]30 号)

全四章で構成された、「十四五」期間における市場監督管理の重点課題及び重大措置の計画となります。重点課題として以下 が挙げられています。

  • (1)継続的にビジネス環境を最適化し、市場主体の活力を十分に刺激することに注力する
  • (2)市場の総合管理、公平な競争環境を構築することを強化する
  • (3)国内統一市場を維持・改善し、市場循環を促進する
  • (4)品質に関する政策及び技術システムを改善し、高品質発展に貢献する
  • (5)最低限の安全を保障し、消費者の権益保護を強化する
  • (6)現代化した市場監督管理システムを構築し、市場監督管理機能を全面的に向上させる

原文

2. 「十四五」省エネ・排出削減総合方案(国発[2021]33 号)

汚染防止とコントロールの徹底、健全なグリーン低炭素循環発展経済システムの構築、経済社会発展の全面的グリーン転換、 カーボンピークアウト・カーボンニュートラル目標達成のために策定された方案です。 主要目標として、2025 年までに国内総生産に対するエネルギー消費量を 2020 年と比べて 13.5%減少し、エネル ギー総消費量をコントロールすること、化学的酸素要求量、アンモニア性窒素、窒素酸化物、揮発性有機化合物の総排出量 を、2020 年と比べてそれぞれ 8%、8%、10%以上、10%以上減少することが挙げられています。 その他、10 項目の省エネ・排出削減重点プロジェクトの実施や政策メカニズムの健全化などが記載されています。

原文

3. 対外貿易をさらに安定させるための跨周期の調整に関する意見(国弁発[2021]57 号)

2021 年 12 月 29 日に国務院弁公庁より公布された貿易発展のための施策であり、各政府機関に対して、役割分担の上、 方向性に沿った対応(具体的な対応方針の設定と実施)を指示しています。 57 号意見は、昨今の経済環境(国内需要の縮小を輸出が支えている、原材料の高騰が中小企業の経営を圧迫している状況な ど)を背景に、貿易の一層の高度化・新しいビジネスモデルの構築によって、貿易取引の拡大・中小企業の支援を実施する方 針が示されています。 なお「跨周期調節」とは、景気減速を防ぐための浮揚策を使いながらも中国経済の構造的問題を改善する努力を続けることを いいます。 57 号意見には、以下の 15 項目が施策として織り込まれています。

  • (1)海外倉庫の活用と機能向上
  • (2)大口商品の輸入推進
  • (3)消費財の輸入潜在力発掘
  • (4)国際物流の安定
  • (5)貿易モデルの発展:越境Eコマース総合試験区の新設。オフショア取引重点地域の育成により、新型オフショア貿易を 発展させていく方針が規定されています。
  • (6)加工貿易の安定的な発展
  • (7)双循環貿易企業育成:双循環貿易とは、国内取引と貿易の一体化であり、これによる貿易発展と国内市場拡大が目標と されています。
  • (8)貿易の利便化向上
  • (9)貿易支援制度
  • (10)輸出信用保険
  • (11)(12)保険担保融資・信用貿易推進
  • (13)(14)為替リスク低減・クロスボーダー人民元決済推進
  • (15)雇用安定

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4. 総合保税区管理弁法(税関総署[2022]第 256 号令)

税関は本弁法に基づき、総合保税区に出入りする交通輸送手段、貨物、及びその梱包物、コンテナ、物品、および総合保税区 内企業に対し監督管理を実施します。

第 1 章:総則、第 2 章:区内と国外を出入りする貨物の管理、第 3 章:区内と国内区外を出入りする貨物の管理、第 4 章:区 内貨物の管理、第 5 章:区内企業の管理、第 6 章:附則から成る全 47 条で構成されており、2022 年 4 月 1 日から施行さ れます。

なお、本弁法施行と同時に、「保税港区暫定管理弁法(税関総署令第 164 号)」及びその改正文書、「保税物流園区管理弁 法(税関総署令第 134 号)」及びその改正文書は廃止となります。

原文

5. 原産地証明書データ及び付属書類のインポート仕様に関する公告(税関総署公告 2022 年第 1 号)

現在、原産地証明書を申請する場合、中国の国際貿易「単一窓口」標準版、「互聯網+税関」を通じて関連手続ができます が、企業の情報システムを接続することでも関連業務を申請することができます。 情報システムの接続を希望する企業は、本公告添付の「原産地証明書と付属書類のインポート仕様」に従い、インターフェー スの変更作業が必要となります。

原文

6. 金融機関の顧客デューデリジェンスと身分資料及び取引記録保管管理弁法(中国人民銀行・中国銀行保 険監督管理委員会・中国証券監督管理委員会令[2022]第 1 号)

マネーロンダリングやテロ資金調達の防止・抑制のため、金融機関による顧客デューデリジェンス、顧客データ、取引記録の 保管を規範化するために制定された弁法となります。

弁法では、金融機関が個人のために、一度に 5 万元以上もしくは外貨換算 1 万米ドル以上の現金の預け入れ・引き出しを行う 場合、顧客の身元を確認し、資金の源泉または用途を把握・登録しなければならないといったことが規定されています。

本来、本弁法は 2022 年 3 月 1 日から施行される予定でしたが、現在施行が一時的に停止されています。本弁法の実施にあ たり、金融機関の内部管理システム、情報システム、ビジネスプロセスの改定、人員のトレーニングが必要となることが調査 により判明したため、施行を一時停止することが決定されました。

原文

(施行一時停止の決定)

http://tradeinservices.mofcom.gov.cn/article/news/ywdt/202202/130731.html

7. 横琴・粤・澳深度合作区外商投資株式投資類企業試行弁法(暫定)

本弁法でいう外商投資株式投資類企業とは、外商投資株式投資管理企業および外商投資株式投資企業を指し、それぞれの定義 は以下の通りです。

● 外商投資株式投資管理企業

外国の自然人、企業、その他の組織(以下、外国投資者)の参加を得て合作区で設立され、株式投資企業を発起設立する企業、もしくは株式投資企業の管理の受託を主要経営業務とする企業

● 外商投資株式投資企業

外国投資者の参加を得て合作区で設立され、国内外の投資家から非公開方式で資金を調達し、国内の非公開会社に投資する企業

外商投資株式投資管理企業は、外商投資株式投資企業および国内プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルファンドの 発起設立または管理を受託することができ、国内プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルファンドの管理者は、外商 投資株式投資企業の発起設立または管理を受託することができます。

本弁法では、外商投資株式投資管理企業、外商投資株式投資企業の条件やその運営・管理、申請手続などが規定されており、 2022 年 1 月 19 日から施行されています。

原文

以上