【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.170

2022-07-25

【中国ビジネス・トレンド】

■  華東ビジネス・トレンド

華東地域(上海市、江蘇省、浙江省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。

1.上海市の建制鎮(農村部の町)を含む都市部の従業員の社会保険比率の段階的引き下げの継続に関する通知(滬人社規[2022]13 号)

2022 年 5 月 1 日以降 23 年 4 月 30 日まで適用される「失業保険」と「労災保険」の料率の通知です。

(1)失業保険

合計 1%(雇用者 0.5%、個人 0.5%)を継続します。

(2)労災保険(雇用主負担)

一類~八類の業種の基準料率を、国家規定料率を基準として引き続きそれぞれ 20%下方修正。

原文

2.臨港新片区での全力の防疫対策と企業が抱える困難の扶助のための若干の政策措置

臨港新片区が、区内の小売り、飲食、観光、ホテル等のサービス業及び零細企業、個人営業主で感染症影響により経営が困難な事業者、並びに高機能海運物流業者、生産型/科学技術型の小企業を支援するための、感染対策期間中の臨時的な政策措置です。

12 項の具体的な支援、財政扶助政策を提示、その主な内容は以下の通りです。

  • 小売り、飲食、旅行、ホテル業の主要従業員の PCR 検査費用 3 か月全額補助
  • 小売り、飲食、旅行、ホテル、低温(冷蔵/冷凍)物流業の防疫消毒費用の 3 か月 50%補助
  • 低温物流業のハイリスクエリアの設備改造、防疫物資の経費の 20%の 1 回性補助
  • 零細企業、個人営業主の経営負担軽減(国有企業の家屋を賃借する場合、22 年の家賃 6 か月分免除、市場運営者が店子の家賃を減免した場合の優遇措置、など)
  • 洋山特殊総合保税区内の国内貨物運輸、倉庫、荷揚げ/荷卸し企業への税制優遇(「納税即還付」方式継続)。
  • 融資担保サポート強化(融資信用限度アップ、担保費率 0.5%低減、担保リスク容認度アップ、担保規模 5 億元まで引き上げ等)
  • 金利補填政策(中小零細企業、個人商業主、防疫物資重点企業の 22 年ローン増額分の利息 50%補填、上限 40 万元)
  • 金融支援強化(政策性緊急融資、イノベーション企業、民営零細企業への専用金融商品奨励など)
  • 企業生産・経営への一対一個別支援、従業員職場復帰、物資調達、防疫対策支援。「ゼロ感染工場」「ゼロ感染園区」への奨励金
  • 企業のデジタル化支援、インターネット利用のクラウド管理による生産~供給までの感染症影響の軽減
  • 就業人員確保に貢献した人材派遣業者への確保人員一人当たり 400 元の奨励金。技能訓練補助金(中級以上の技能訓練の補助金、上限 25%まで)

原文

3.上海市の経営困難企業の社会保険料支払いの段階的猶予に関する政策(滬人社規[2022]15 号)

経営が特に困難な企業に対する社会保険料(養老、医療/生育、失業、労災)の支払いを猶予(先延ばし)する上海市の政策の通知です。
央政府の政策通知(人社庁[2022]16 号)に基づき、市自らの事情を反映したとしています。
象は、飲食、小売、旅行(旅行会社と観光地関連業種)、国内航空会社、道路/水路/鉄道輸送会社並びにこれら業界に属す従業員がいる個人事業主及びその他の単位です。
人の資格で社会保険に加入している個人事業主とフレキシブルワーカーの「養老保険」「医療保険」の 2022 年納付分も対象になっています。

猶予対象となるのは、「養老保険」と「医療/生育保険」の 22 年 4 月~ 6 月納付分、「失業保険」と「労災保険」の 22 年 4 月~ 23 年 3 月納付分となります。
予(先延ばし)後、「養老保険」と「医療/生育保険」は 22 年末までに補充納付しなければならず、「失業保険」と「労災保険」は猶予期間終了後 1 か月以内に補充納付と定められています。なお、従業員の個人負担分は、通常通り雇用主が源泉徴収し代納します。
予期間中、従業員は通常通り社会保険待遇を享受出来ます。また期間中に「養老保険金」支給対象となった従業員は、雇用主がその時点でその対象者分を補充納付する義務があり、通常通り支給されます。

原文

4.科学技術企業の防疫対策と健康的発展への全力サポートに関する若干の措置(滬科[2022]98 号)

コロナ感染症再拡大の状況下で、科学技術の側面から防疫を支援するための臨時措置です。下記の 4 点が示されています。

(1)科学技術による防疫戦

  • 低分子薬、漢方薬、PCR 検査装置、抗原検査試剤など防疫薬剤・資材の研究開発、生産強化
  • 防疫製品の「上海市イノベーション製品推薦リスト」への優先登録、高度新技術の成果の応用製品の優先認定
  • 重要科学技術施設、実験室、研究開発応用型プラットフォームの技術的資源の対外提供、科学技術企業の AI、ビッグデータ、5G、クラウド計算システムの対外提供

(2)企業のイノベーション能力レベルアップ支援

  • 防疫対策で傑出した働きをした企業と個人への優遇
  • 中小企業の防疫分野の研究開発サポート、「中小企業技術イノベーション資金」の申請/承認/資金供与の加速処理、「イノベーション創業大会」に「防疫専門大会」を設置
  • 「科学技術イノベーション券」の限度額上限拡大(50 万元まで)、防疫分野の企業は優先審査/給付

(3)企業の困難解決支援

  • 税制優遇政策(科学技術型中小企業の研究開発費の加算控除、高度新技術企業、技術先進型サービス企業の所得税減免、など
  • 科学技術イノベーションのキャリヤー組織の家賃減免、運営費補助
  • 科学技術金融保障、元本返済無しでのローン継続、利息/手数料減額、など

(4)行政サービスの改善、合理化、迅速化

  • 科学技術信用貸付、外国人就業許可、企業認定など行政手続の「オンライン画面+リモート受理」
  • 「科学技術サービスホットライン」、「上海科技ウィーチャットアカウント」、「上海市研発公共サービスプラットフォーム」等でのオンライン行政サービス
  • 防疫対策期間中、防疫措置が原因の信用管理データの提出遅れ容認

原文

5.全力での防疫と企業の発展促進のための知的財産権に関わる若干の業務措置

本措置もコロナ感染症の再拡大の状況下で策定された支援措置の一つで、知的財産権の側面から感染対策をサポートする主旨のものです。

重点措置として下記の 4 つが示されています。

(1)知的財産権を防疫の重要な支援機能に

  • 防疫関係の特許、商標の優先審査、新型コロナウイルスワクチン、治療薬、診断製品の研究開発企業へのサポート、防疫分野の技術者の「知的財産権高級管理師」認定へのサポート強化
  • 防疫物資メーカーの知財権保護の強化、防疫物資市場の知財権に係る違法行為取締り強化、防疫分野の特許技術の需給マッチング

(2)知的財産権の金融サービス力のレベルアップ

  • 知財権担保ローンの利息補填、リスク補償、中小零細企業の知財権担保ローンの審査批准の迅速化、元本返済無しのローン継続へのサポート
  • 知財権担保融資保証保険、知財権執行保険の奨励、「上海市知的財産権金融サービス連盟」による中小零細企業の知財権担保ローン需要調査/金融機関情報のリアルタイム提供

(3)経営困難企業の発展サポート

  • 感染症原因で遅延した特許、商標、集積回路図面設計の申請期限延長と権利喪失の復権サポート、中小零細企業向けの知財権手続サービス強化
  • 知財権サービス機構の防疫対策支援、まん延期間中の年度検査強化

(4)知的財産権サービスの保障強化

  • 知財権に係る行政サービス改善(オンライン化、中国特許電子申請ネット、中国商標ネット、「国家知財局政務プラットフォーム」「上海政務オンラインプラットフォーム」などを結ぶ全プロセスオンライン化)
  • 知財権に係る諮問サービス強化(知財権問合せホットライン、国際特許申請諮問サービスホットラインなど)

添付の「防疫期間中に金融機関が提供する知的財産権金融サービスリスト」に、上海の各銀行、保険会社など金融機関がそれぞれ提供出来る知財権関連の金融商品を掲示。

原文

6.現在の労使関係の更なる融和安定の推進に関する業務手引き(滬人社関[2022]89 号)

感染症防疫期間中の隔離措置など非常対応時の就業問題、労働者の権利保護、企業の生産・経営の持続、円満な労使関係維持を目的とした手引書です。

以下の 5 つのテーマで具体的な業務の手引きが示されています。

(1)総論

  • 関係法規、政策に則った「労使双方の権利/義務」の調整。防疫期間中に発生した新たな状況や問題への妥当、綿密、実効性ある対処

(2)労働者雇用の規範確保

  • 感染症まん延が原因の労働契約の締結や更新の遅延に対する合理的な期間順延、「電子労働契約」採用
  • 在宅勤務、リモートワーク推奨。在宅勤務・リモートワークの採用ができない場合、労働者と相談の上、有給休暇、「福利休暇」等の休暇を優先使用できる
  • 隔離治療、医学観察、無症状感染者、濃厚接触者など正常勤務不能者の労働契約解除の禁止(防疫措置に応じず刑事責任を追及された労働者は解雇可)
  • 派遣労働者の防疫措置原因の勤務不能時の雇い止め不可
  • 企業間での労働者融通の際の労働者権益保障

(3)給与支払い保障

  • 感染や防疫措置による勤務不能者への給与支給保障
  • 感染症影響による経営困難企業の給与支給延期の許容(一般的に 1 か月以内)
  • 在宅勤務での残業時の残業手当或いは代休の支給

(4)業務メカニズム完備

  • 「労使調整メカニズム」(労働者の生活/就業、企業の生存/発展の両方重視)
  • 「連携サービスメカニズム」(困難企業サポート、破産、人員整理企業の従業員の再就職、職業訓練支援など)
  • 「予防警鐘メカニズム」(オン/オフライン情報ルート確保、給与欠配、大規模人員整理等のリスク観測強化、特に農民工への保障に注力)

(5)組織保障強化

  • 市、区の人力資源・社会保障部門の連絡強化。社会末端の労働問題解決
  • 労働組合、企業連、商工会の 3 者連携、最大公約数的満足度の確保
  • 「給与欠配保障金立替払い制度」の機能発揮

原文

7.上海市の経済回復と再振興の加速のための行動計画(滬府規[2022]5 号)

感染症影響で減退した上海市の経済復興のためのアクションプランです。個別の政策通知を取り纏め全体的な指針を示したものです。

下記の 8 テーマに分類し、復興支援、優遇政策を列記しています。

(1)各種市場の事業主体の困難解決

  • 社会保険料(5 業種)と住宅積立金の納付猶予。零細企業/個人事業主への家賃減免。社会生活インフラ費(上下水道、電気、ガス、ごみ処理)補助、減免
  • 6 業種(科技研究、製造、電力/水、情報技術、環境、交通運輸郵政)に対する税還付、減税。困難企業への土地使用税等の減免
  • 飲食、小売り、旅行、交通運輸、文化娯楽、宿泊、展覧/催事など感染症影響が重大な業種の従業員の不解雇/解雇人数縮小に対する補助金

(2)労働者職場復帰、生産回復、市場回復

  • 企業の防疫消毒対策の指導と補助金。自動車、集積回路、バイオ医薬等のサプライチェーンの上/下流同時回復。国内/国際物流の円滑化施策(全国統一通行証普及、非接触物流の推進等)と資金援助

(3)外資、外国貿易の安定化

  • 重点外資企業の従業員復帰/生産正常化サポート、外国貿易企業の輸出時増値税還付の優遇措置。輸出口岸の物流関係諸経費減免。通関の利便化
  • 政策性金融支援、輸出信用保険料率優遇。中国輸出入銀行上海分行の輸出入専用信用貸付限度額拡大。「国家外経貿発展専用資金」活用サポート

(4)消費の加速的回復促進

  • 自動車販売促進(非営業車ナンバープレート数量枠拡大:年内 4 万枚、EV 車 1,000 元/台の補助金)。家電買い替え促進(エコスマート家電、省エネ家電への補助金)。応急物資貯蔵基地、スマートデリバリー、低温物流網
  • ショッピングイベント、夜間経済、購買優待券、旅行券等へのサポート。映像コンテンツ、旅行、文化、体育等の事業発展の専用資金

(5)投資の重要機能(効果)の全力発揮

  • 投資プロジェクトの審査批准効率化、重要インフラ投資促進、重点産業(集積回路、新エネルギー車)投資促進。都市改造支援。保障型賃貸住宅建設/供給など
  • 「上海 REITs20 条」(不動産投資信託基金政策)推進、企業投資項目の審査批准プロセスの合理化。社会資本、民間からのインフラ投資支援

(6)各種の資源と生産要素の保障強化

  • 財政支出の最適化調整による安定成長確保。困難企業への専用資金による支援。金融機関の中小零細企業、個人事業主、トラック運転手向け専用融資奨励
  • 適格海外投資事業有限責任組合(QFLP)、適格国内有限責任組合(QDLP)を含む資産管理機構の参入奨励。世界的或いはアジア太平洋規模の投資管理センター設立サポート。産業用地提供保障

(7)市民生活保障の徹底強化

  • 雇用安定、就業機会拡大(国有企業人員採用拡大、政府財政による社会生活エッセンシャルワーカー、中小学校教員増員等)。従業員オンライン技能訓練奨励金(600 元/人・回)。創業奨励金
  • 市民生活の安定(生活必需品供給、物価監督強化、生活困窮者への補助)

(8)都市の安全、秩序保障とビジネス環境の整備

  • 都市の核心機能確保と企業へのサービス構造完備(金融、貿易、航行、科学イノベーション等)。エネルギー供給保障、食料生産/備蓄強化
  • 企業向け行政サービス強化(ワンストップ式サービス、生産回復、投資支援)

本政策は 22 年 6 月 1 日施行、有効期間 22 年 12 月 31 日まで。

原文

8.上海市の住宅積立金の段階的支援政策に関する通知

感染症影響で経営困難な上海市の企業、個人事業主の経費負担軽減の一環で、住宅積立金の納付を一定期間猶予する政策です。
中央政府の『住宅積立金の段階的支援政策の通知(建金[2022]45 号)』に準拠し、上海市の事情に合わせ策定されたものです。

2022 年 12 月以前に感染症の影響を受け、住宅積立金の納期通りの納付が困難になった雇用主は、従業員大会或いは労働組合の了承を得た後、「上海市住宅積立金管理センター」に納付延期を申請することが出来ます。
納付延期の期限は 22 年 4 月から 12 月までとなり、この期間は未納付にカウントせず、企業信用記録に悪影響を及ぼしません。また従業員の住宅積立金納付は連続計算され、積立金払い戻しや住積金ローンに悪影響を与えません。

自主的に住宅積立金に加入の個人事業主及びその従業員、フレキシブルワーカーで、22 年 12 月 31 日以前に感染症の影響で住宅積立金の納期通りの納付が困難になった者についても、同管理センターに納付延期を申請出来ます。やはり納付は連続計算され、正常に払い戻しやローン申請可能です。

22 年 3 月から 12 月までの期間、感染症の影響で住積金ローンの返済が期限内に出来なかった個人で、感染症影響が認定された者は、返済遅延の扱いを受けず、違約利息も取られず、信用記録にも返済遅延と記録されません。なお、ローン返済猶予期間終了後は、通常通り借入残の元本/利息の返済を続けなければなりません。

従業員が家賃の支払いに住積金を充当する時、各戸(含む独身者)の引き出し月額の上限が、2,500 元から 3,000 元に上方修正されました。

本通知に併せ、上海市住宅積立金管理センターから『実施細則』が公布され、詳細説明がされています。

原文) (実施細則原文

9.インターネット、クラウド通信網の大容量化で企業を扶助する行動計画(滬経信基[2022]203 号)

企業の通信コストを低減し、正常生産・経営に回復させ、企業のデジタル化の基盤を強化するための、感染症影響時に応じた行動計画です。
上述の項目 7『上海市の経済回復と再振興の加速のための行動計画(滬府規[2022]5 号)』を通信網充実の面から支援するため、通信キャリヤーやクラウド関連企業の協力を得て策定されたものです。防疫・都市運営の情報管理、通信環境不備エリア解消、経営困難企業支援、企業のデジタル化推進を目的としています。

(1)企業の通信コスト支援(期間限定)

  • 中小零細企業/個人事業主のブロードバンド料未払い企業への通信継続(後払い承認)、通信費用逓減、旅行、文化娯楽、宿泊飲食、家政(家事サービス、家庭向け人材派遣等)など
  • 感染症影響が深刻な企業への通信費減免、オフィスビル、園区のブロードバンド無償増速、など

(2)正常生産・経営回復(期間限定)

  • 防疫対策(「デジタル哨兵」等)機器の通信料分割払い、リモートワーク、クラウド会議用ソフトの無償使用、企業向け「視頻彩鈴」(ビデオ通話サービス」の無償使用、防疫関連企業のクラウドカスタマーサービスの無償使用

(3)企業のデジタル化基盤確保(継続的テーマ)

  • オフィスビル、園区の通信環境脆弱エリアの補強と日常的 PCR 検査サンプル採取地点掲示の通信品質確保、22 年末まで全市 6 万基の 5G 室外ステーション建設、商業用ブロードバンド(企業名義)通信容量増強、1000 テラ Wi-Fi 網の実現

原文

10.申請免除で即利用可能な専用金融オンラインサービスで企業の生産・経営の回復を加速させる事に関する通知(滬経信技[2022]204 号)

同委員会が市内の銀行の協力を得て、企業の困難を支援するため、「一網通弁」(ワンストップ式オンライン行政サービス)プラットフォームで、3,200 億元規模の信用貸付の専用金融サービスを提供する政策です。
上述の項目 7『上海市の経済回復と再振興の加速のための行動計画(滬府規[2022]5 号)』を金融面から支援するサービスの一つです。
対象は国家級、市級、区級企業の技術センター、感染症防疫対策期間中の各区、集団公司推薦の「白色リスト」企業で、これらに対し上海市の 4 行(工商銀行、招商銀行、上海浦東発展銀行、光大銀行のそれぞれ上海分行)が優遇利率の専用金融商品を提供します。

原文

11.上海市の企業・組織から出る生活ごみの処理費用の段階的な徴収免除に関する業務の通知(滬発改価調[2022]6 号)

上海市の国家機関、企業/事業体、社会団体、個人経営者から出る生活ごみは、『上海市企業・組織の生活ごみ処理費の徴収管理弁法(滬府規[2019]28 号)』で費用徴収が定められていますが、これを一時的に免除する(22 年 6 月~ 8 月の計 3 か月分)という通知です。
なお、その他の月は、通常通り「ごみの量に応じた費用徴収」がされます。
この一時的徴収免除は「申請免除即享受」方式で対応され、申請の必要はありません。

原文

12.生産・経営回復援助のための人材に係る特別なサポートに関する措置(滬人社力[2022]103 号)

上海市の生産・経済活動の回復と発展を人材確保の面からサポートするための政策で、18 項目にわたり広範な行政措置が提示されています。
人材確保の範囲は、実務・技能レベルから海外帰国組を含むハイクラス人材まで幅広く、それぞれ優遇措置あり、また人材関連企業や職業訓練を行う雇用者への奨励金等もあります。
ハイクラス人材関連の特筆点の一つは、留学先の学校で格差が付いていること。「世界有名校ベスト 50 校」留学帰国者は、上海でフルタイム就業した時点で戸籍が与えられ、「世界有名校ベスト 51-100 校」では、上海で社会保険料を満 6 か月納付すれば戸籍申請が出来るとしています。
大学/大専卒業生の就職では、「普通管理職」「比較的汎用性が高い初級専門技術職」への就職を重点的に進める方針が見られます。
中学/高校卒業生の就職にも重点が置かれ、22 年度卒業生は元籍学校に戻っての「技能認定」、「技能等級昇級奨励金」が用意されています。
人材マーケット発展のため、「伯楽」奨励計画(政府専用財源による有能人材獲得の成績優秀組織への奨励政策、最高 100 万元)への資金供給強化、ヘッドハント組織による海外ハイエンド人材の招聘、感染症防疫、生産・経済復興のための人材確保への支援。
また留学生のイノベーション創業、専門技術人材の職称(公式な職位等級)認定のサービスへの支援も掲げられています。

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13.雇用主に対する感染症影響期間中の従業員の就業維持のための補助金支給に関する通知(滬人社規[2022]18 号)

感染症の影響が大きなサービス業の従業員一時解雇の抑制、並びに市内全体の就業人数の確保ため、補助金の支給を定めた非常時政策です。

(1)従業員一時解雇抑制のための補助金

飲食、小売り、旅行(旅行社と観光地関連企業)、交通運輸、文化/体育/娯楽、宿泊、会議/展覧/催事の合計 7 業種で、22 年 1 月 1 日より前に設立され、社会保険料を納付している上海市の企業が対象。また、当該企業の 21 年度の一時解雇率が「21 年度全国都市調査・失業率抑制目標」を超えていないことが条件です。
申請の前の月に納付した従業員社会保険料の人数に対し 600 元/人。但し、各企業 300 万元を上限として 1 回限りの支給です。

(2)市内全体の就業人数確保のための 1 回性の奨励金

給付の対象は、22 年 3 月 1 日から 12 月 31 日までの期間、上海市の 3 か月以上の失業者及び 22 年度の大学/大専卒業生を 1 年間以上の労働契約で雇用し、社会保険料を納付している企業、社会組織、個人事業者などの雇用主です。
支給基準は 2,000 元/人、但し、同一人が大卒者で失業者だった場合でも、支給は 1 人分のみです。

本通知の施行と同時に、2020 年の『感染症影響下の就業安定のための上海市企業への就業補助金の通知(滬人社就[2020]87 号)』は廃止されました。
本通知には「困難企業就業安定申請表」のフォーマットが掲載されています。

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14.上海市 2022 年の経営環境改善のための重点事項(滬府弁発[2022]10 号)

上海市の 2022 年度の企業経営環境整備のため、合計 10 項目の重点事項を指示した通達です。

(1)企業登記の簡便化、迅速化

企業登記/変更/取り消しの全面オンライン化、食品チェーン経営許可の簡便化

(2)納税の利便性向上

税務サービス拠点 40 か所設置、電子発票の範囲拡大、社会保険/住宅積立金の合併申請/データ互換性

(3)融資サービス向上

銀行諸チャージ低減、中小零細企業/個人事業主への口座管理費無償化、ローンの自動的ロールオーバー、未公開株式/創業投資基金取引プラットフォーム構築、高度新技術企業の外債発行簡便化、等

(4)信用監督管理向上

信用喪失企業の信用回復の仕組み向上、各地信用情報の相互連携

(5)公共サービス向上

上下水道/電力/ガス/インターネットの一括工事、公共給水サービス全行程オンライン処理、電力供給手配の前倒し/迅速化

(6)プロジェクト審査効率化

工事入札の電子化、仲介業務の内容範囲等の明確化のためのオンラインマーケット

(7)越境貿易の簡便化

高度新技術貨物の通関迅速化、埠頭荷役費の一元化公示、上海の国際貿易「単一窓口」化と専用金融商品充実、食品輸出入総合保険、外資企業のローンコスト低減

(8)科学イノベーション育成

「専門的・精緻・特色・斬新」な企業の育成強化(5,000 社目標)、技術契約の登記簡便化、企業標準/団体標準の公開事務簡便化(一貫オンライン処理)

(9)紛争解決の効率化

企業訴訟事務オンライン処理化、少額訴訟のプロセス簡素化と費用削減、判決文書の自動送達機能、個人事業主への法務指導

(10)営業・経営への親身のサービス

啓蒙宣伝、企業向けサービスの仕組み強化、感染症応急対応の業務方式の継続的改善、経営環境への社会監督の仕組み(社会から募った「体験官」による監督)

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