【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.212

2023-12-25

【中国ビジネス・トレンド】商用ビザ(Mビザ)事前取得以外の中国訪問選択肢(12月アップデート)

2023年10月26日付配信のダイジェスト版Vol.209にて、商用ビザ(Mビザ)事前取得以外の中国訪問選択肢について解説いたしました。今回はその内容のアップデートとなります。なお、現時点(2023年12月22日)では日本に対するビザ免除は再開されておりません。

1.APECカード(APEC Business Travel Card)

APECカードは有効期限が5年と長いこと(パスポートの残存期間が短い場合はパスポートに準じる)、1回の滞在が60日間(中国の場合)と比較的長いというメリットもあり、申請が急増しているようです。
申請方法については、一定の条件を満たすことを前提に、外務省経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室ABTC班まで必要書類を郵送する郵送申請となります。
詳細は外務省ホームページを参照ください。

2.到着ビザ(アライバルビザ)

到着ビザは、ビザなしで渡航し、中国到着後に訪問目的に沿ったビザを申請・取得することとなります。急な出張などにも対応できるということで、その発給状況や関連手続について問い合わせが増えております。

●上海(12/20上海出入管理局に確認)
外国人に対する到着ビザは発給されており、Mビザの滞在期限は30日間、訪問場所に制限はありません。上海企業が事前にオンライン申請のうえ、「外国人口岸ビザ受理通知単」を取得し、出張者は上海企業が社印を押印した同通知単と他の必要資料を持参し、上海口岸でMビザを申請・取得することになります。
なお、M以外のビザの申請も可能となっており、それぞれの必要書類は「上海出入管理局電子政務平台」に掲載されています。

●広東省(下記各所関連機関に確認)
(1)広州白雲空港(確認日12/22)
以前、広州白雲空港ではMビザの発給は難易度が高い状況でしたが、現在は入国1週間前に、関連資料を白雲空港審査科の指定アドレスに送信することで申請ができます。
審査科が許可した場合、許可書類が発行され、これを入国者が白雲空港で提出してMビザを申請することができます。Mビザの有効期限は最大で30日間となります。

(2)深セン羅湖(確認日12/19)
・申請可能なビザ:特区ビザ(Eビザ)
※特区ビザとは、深セン、珠海、厦門の経済特区を訪問する外国人に発給されるビザで、直接各地のビザ機関へ申請することができます。
・滞在可能期間:5日間(訪問場所は深セン市内に限定される)
・必要書類:パスポート原本、申請用紙・顔写真(現地で取得・撮影)
・所要時間:申請が受理されてから2時間以内に発給可否が決定される(ただし、非公式の情報では1日の発給数に制限があるようなので注意が必要です)
・受理時間:9時~16時半
・申請費用:275元(カード・現金等での支払可)

(3)皇崗・蛇口(確認日12/19)
・申請可能なビザ:訪問目的によって、MビザやFビザ、特区ビザ(Eビザ)の申請が可能(ただしMビザやFビザの申請は一定のハードルがあるため、発給されない可能性がある)
・滞在可能期間:特区ビザの場合5日間(訪問場所は深セン市内に限定される)、MビザやFビザの場合最大30日間(訪問場所は深セン市内に限定されない)
・必要書類:
● 特区ビザ(Eビザ)の場合
※深セン羅湖を参照
● MビザやFビザの場合
1)国内招聘者が発行する招聘状(入国後の日程などを記載、社印押印)
2)国内招聘者の営業許可証コピー(社印押印)
3)国内招聘者の法定代表人身分証明書コピー(社印押印)
4)青色背景の証明写真2枚(サイズ:3.5センチ×5.3センチ)
5)申請用紙(窓口で取得)
6)パスポート原本
・所要時間:申請が受理されてから2時間以内に発給可否が決定される
・受理時間:9時~16時半
・申請費用:275元(カード・現金等での支払可)

(4)福田(確認日12/19)
・申請可能なビザ:なし

(5)珠海市の拱北・横琴(確認日12/22)
拱北ではMビザやFビザの申請は受理しておらず、特区ビザ(Eビザ)のみ受け付けているとのことです。
横琴では訪問目的によってMビザやFビザ、さらに特区ビザの申請も受理されています。
上記特区ビザの滞在期間は3日間であり、訪問場所は珠海市内に限定されます。

MビザやFビザの場合、申請の必要書類は以下の通りです。
1)国内招聘者が発行する招聘状(入国後の日程などを記載、社印押印)
2)国内招聘者の営業許可証コピー(社印押印)
3)国内招聘者の法定代表人身分証明書コピー(社印押印)
4)青色背景の証明写真2枚(サイズ:3.5センチ×5.3センチ)
5)申請用紙(窓口で取得)
6)パスポート原本
・所要時間:申請が受理されてから30分以内に発給可否が決定される
・受理時間:9時~17時
・申請費用:275元(カード・現金等での支払可)

広東省における到着ビザについては、各地通関地で発給可能なビザの種類が頻繁に変更されている状況です。またMビザを申請する場合は、中国国内の招聘者の招聘状や営業許可証コピー、法定代表人身分証明書コピーなどの事前準備も必要となります。

3.トランジットビザ

2023年1月29日、国家移民管理局のサイトにて、日本人に対するアライバルビザと72時間・144時間トランジットビザの発給再開が公告されています。
原則的にはパスポートと乗り継ぎ航空券があれば申請ができ、また実際に取得に成功した事例も報告されていますので、短期の出張であればひとつの選択肢となります。

また10月1日には、上記サイトにてトランジットビザの申請条件についての解説が公開されています。その主な内容は以下の通りです。

●申請条件
(1)72時間・144時間トランジットビザの発給対象国民であること
全部で53か国がリストアップされており、アジアでは日本、韓国、シンガポール、ブルネイ、UAE、カタールの6か国が該当します。

(2)有効期限が3か月以上のパスポートの所持および第三国・地域への入境条件を満たすこと

(3)申請時間(72・144時間)以内の搭乗日および座席の確定した第三国・地域への乗り継ぎ航空券または関連証明資料、臨時入境外国人入境カードへ記入したうえ、入国審査官の質問に回答すること

注意点として、トランジットビザを申請できる通関地と通関地ごとの滞在可能地が限定されています。

・72時間トランジットビザ申請地
長沙黄花国際空港・桂林両江国際空港・ハルビン太平国際空港
・144時間トランジットビザ申請地
北京首都国際空港、北京大興国際空港、北京西駅、天津浜海国際空港、上海虹橋国際空港、上海浦東国際空港、上海海港口岸、上海鉄路口岸、その他

通関地のリストと滞在可能地の詳細は国家移民管理局のWEBサイトを参照してください。

また、パスポートの有効期限が残り3か月未満の場合や、中国のビザ発給拒否のスタンプが押されている場合、5年以内に不法出入国、不法滞在、不法就労の記録がある場合は申請が認められません。

以上