【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.83

2017-12-16
**【INDEX】 ** **【中国ビジネス・トレンド】 ****■ [**外資企業登記制度の規制緩和について(2)** ](#m_5929177762007757010_1)** **【水野真澄関連商品】 **■ ****[**「中国ビジネス投資Q&A(2017年改訂版)」**](#m_5929177762007757010_2)

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【中国ビジネス・トレンド】

外資企業登記制度の規制緩和について(2)

2014 年以降に実施された外資企業の設立・登記事項変更・閉鎖に関する規制緩和措置について、前回のダイジェスト版 Vol.82(11 月 13 日発行)に続き解説します。

**3.五証合一と現在の会社開設手続

** 2015 年の三証合一(営業許可証・税務登記証・組織機構コード証の統合)、2016 年には五証合一(三証に加え、社会保険登記証・統計登記証の統合)が実施され、手続の合理化・簡便化が実施されました。
一方、銀行口座の開設と税務手続の厳格化(法人代表の実名登記等)が実施されているため、所要時間にそれ程大きな影響(迅速化)は生じていない状況です。

**<五証合一登記後の税務局手続>
** ● 申告用の法人一証通(USB)の購入(区の数字認証センターで購入。1 営業日)
● 会社情報の登録(税務局オンラインシステム。1 営業日)

● 会社情報の登録と法定代表の実名認証(税務局窓口。1 営業日)
⇒ 法定代表人自身が税務局で手続する必要有り。

● 税務担当員の決定(税務局)
● 納税用口座の届出(税務局オンラインシステム。2 営業日)
● 一般納税者資格認定の申請(税務局オンラインシステム。5 営業日)

● 税目の確定(税務担当員が決定する)
● 税金自動引落のための三者協議の締結と税務局への届出(税務局オンラインシステム。2 営業日)
● 発行する発票の種類の決定と発票購入者の届出(税務局オンラインシステム。5 営業日)
● 財務会計制度、及び使用会計ソフトの備案(税務局オンラインシステム。1 営業日)
● 輸出還付資格認定の申請(税務局オンラインシステム。5 営業日)

● 発票使用簿の購入(税務局窓口。1 営業日)
● 発票を発行する金税盤の購入(税務局窓口。1 営業日)
● 発票購入(税務局窓口。1 営業日)

**<五証合一登記証取得後の、税務局以外の手続(販売会社の場合)>
** ● 人民元基本口座と納税用人民元一般口座の開設(7 ~ 10 営業日)
● 「対外貿易経営者備案登記表」の申請(商務委員会。約 5 営業日)
● 「出入境検験検疫報検企業備案表」の申請(検験検疫局。約 5 営業日)
● 外貨登記、資本金口座と外貨一般口座の開設(約 5 ~ 7 営業日)
● 「海関報関単位注冊登記証書」(税関登記証)の申請(税関。約 7 営業日)
● FDI 入金登記(資本金入金銀行。約 5 営業日)
● 電子口岸カードの申請(税関電子口岸センター。約 7 営業日)

4.組織変更に関する規制緩和

**(1)合併分割・国内持分出資

** 「一部の規則及び規範性文書の改訂に関する決定(商務部令 2015 年第 2 号)」は、資本金規制緩和の規則となりますが、それに関係して、外資企業の合併・分割に関する規制や、投資性公司以外の外資企業が中国内で行う再投資に関する規制など、組織変更上の規制に対する緩和も織り込まれています。

外資企業の合併・分割については、定款に基づく資本金の払い込み後で、且つ、生産・経営開始後でなければ行ってはならないという条件が付けられていましたが、この制限が撤廃されました。

投資性公司以外の外資企業が行う、中国内での再投資(持分出資)については、従来、「外商投資企業の国内投資に関する暫定規定(対外貿易経済合作部・国家工商行政管理局令[2000]第 6 号)」により、a. 資本金が全額払い込みである事、b. 利益を計上している事、c. 違法歴が無い事、d. 持分出資金額は自己資本の 50%以内である事、という条件がありました。
その後、国家工商行政管理局が、「外商投資企業の審査認可登記管理の法律適用に関する若干の問題の執行意見(工商外企字[2006]120 号)」を公布し、上記 a.~ d.の全ての制限を撤廃する事を認めました。但し、上記の 6 号規定は対外貿易経済合作部(現在の商務部)と国家工商行政管理局が共同で公布しているにもかかわらず、国家工商行政管理局が単独で 120 号規定を公布し規制緩和を行ったため、商務主管部門がこの規制緩和を認めないという実務上の問題がありました(奨励類・許可類の持分出資は商務主管部門が関与しないため問題とはなりませんでしたが、制限類の場合は、商務主管部門の審査が必要であるため問題となりました)。

この問題が商務部令 2015 年第 2 号により、a.と d.の執行停止が規定されたため、現時点では、仮に制限類であっても、国内持分出資にあたり、資本金払込済・自己資本の 50%以内という条件は要求されません。b.と c.は、商務主管部門の規則には依然として残っているので、制限類出資の場合は注意が必要となります。

また、投資性公司以外の持分出資については、金額制限もあります。経常項目資金は自由な使用が可能ですが、資本項目資金(資本金口座・借入金口座・外債口座内の資金)の使用は、営業範囲内に制限されています。よって、投資性公司以外の外資企業の場合、資本項目口座内の資金を持分出資に使用する事はできません。これが、実質的な持分出資の金額制限になっています。

なお、「外商投資企業の外貨資本金元転管理方式の改革に関する通知(匯発[2015]19 号)」・「資本項目人民元転管理政策の改革及び規範化に関する通知(匯発[2016]16 号)」には、資本金口座・外債口座の資金を持分出資に使用できる事が規定されていますが、実際には依然として許可されていません。投資性公司の場合でも、「外商投資性公司の管理を一層改善する措置に関する通知(商資函[2011]1078 号)」により、国内での借入金を再投資に使用してはいけない事が規定されています。

**(2)対外投資

** 中国内の外資企業の国外投資も、原則として備案制で対応可能となっています(商務主管部門・発展改革委員会での備案が必要となります)。「国外投資管理弁法(商務部令 2014 年第 3 号)」では、商務主管部門の許可制を原則としていた対外投資(商務部令 2009 年第 5 号・失効)を、敏感な国家、敏感な業界に対して対外出資をする場合を除き、備案制に変更しました。
敏感な国家の定義は、中国と国交を結んでいない国家、及び、国連の制裁を受けている国家となります。敏感な業界とは、中国が輸出を制限している製品・技術に関するもの、及び、複数の国家の利益に影響を与える業界を指します。
その後、「国外投資の方向性の更なる指導と規範化に関する指導意見(国弁発[2017]74 号)」が公布され、国外投資の方向性(奨励・制限・禁止)が、以下の通り明確化されました。制限類の a ~ c に該当するものに付いては、商務主管部門での許可取得が義務付けられます。

**1)奨励
** a. 一帯一路関係のインフラ
b. 優良な生産能力・設備・技術の輸出
c. 研究開発センターの設立
d. 国外におけるエネルギー資源開発
e. 農業関連
f. 貿易・文化・物流・金融関係

**2)制限
** a. 中国と国交がない国、戦乱状況にある国などに対する出資
b. 不動産、ホテル、映画館、娯楽業、スポーツクラブ関係
c. ファンドなどの持分出資会社に対する出資
d. 後進的生産設備を使用して行う国外投資
e. 投資対象国の環境、安全要求などに合致していない国外投資

**3)禁止
** a. 国家の許可を経ていない軍事産業関連国外投資
b. 中国が輸出を禁止する技術、製造工程、製品による国外投資
c. 賭博業、風俗業
d. 中国が締結する国際条約等で禁止する項目に関する国外投資
e. その他、国家の利益・安全に危害を与える可能性があるもの

国外投資の手続については、届出条件の場合(許可取得を要しない場合)と許可取得を要する場合とで異なります。

届出条件の場合は、中央企業は商務部に、地方企業は省級商務主管部門に国外投資届出表、営業許可証のコピーを提出し、届出申請を行います。書類内容に齟齬が無い場合、商務主管部門は、3 営業日以内に登記手続を行い、国外投資証書を企業に対して発行します。

許可取得を要する場合は、中央企業は商務部に、地方企業は省級商務主管部門に申請書、国外投資申請表、出資に関する契約、輸出制限技術・製品に関する関連部門の輸出許可証、営業許可所のコピーを提出して、許可申請を行います。許可が取得できた場合、国外投資証書が発給されます。

以上 水野コンサルタンシー


【書籍】

■**「中国ビジネス投資 Q&A(2017 年改訂版)」**

「中国ビジネス投資 Q&A」の初版発売(2002 年)から 15 年、最終改定(2009 年)から 8 年が経過し、中国のビジネス環境は大きく変化しています。
進出関連を主体とした初版と比較して、中国の法制度はドラスティックに変化し、また日本企業の関心も、組織再編、特殊形態取引、E コマース、上場、資金調達と資金の有効活用、撤退など、多様化を見せており、本書の改定のご要望を多数いただいておりました。

この度、ご要望に応えるべく、2017 年現在の法令・制度改定、最新の中国ビジネストレンドを網羅し、全 75 の項目にまとめる大改訂を実施し、改訂版を出版する運びとなりました。
今回の改訂版は、20 年にわたって中国ビジネスの最前線で日本企業をサポートしてきた水野真澄の集大成の一冊です。

この 1 冊に、企業管理制度、外貨管理、通関、会計税務、新しいビジネスモデル等が網羅されております。中国ビジネス制度の今を理解するために、是非ご活用ください。

※本商品は書籍版と PDF 版をご用意しております。収録内容は同じですので、ご利用環境にあわせてご検討ください。

**【商品情報】
**執筆者:水野コンサルタンシーグループ代表 水野真澄
制作・発行:株式会社チェイス・チャイナ

**【PDF 版価格】
** 一般のお客様 9,800 円・700 香港ドル・640 元
MCH 会員様 5,800 円・420 香港ドル・380 元

【書籍版価格】
一般のお客様 3,800 円・437 香港ドル(日本国内・香港内送料弊社負担)
MCH 会員様 3,500 円・350 香港ドル(日本国内・香港内送料弊社負担)

**購入のお申込み方法 ▼
** 以下項目をご記入の上、info@mizuno-ch.com(担当:横幕)までメールにてお申込みください。

購入希望商品及び数量 【書籍・PDF・両方】 ※何れか選択してください。
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発票発行要否 【要・不要】人民元での支払いの場合は必ずお知らせください。
PDF 版納品方法 【メール添付・オンラインストレージ経由
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収録内容の詳細はこちら ▼
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■ 中国外貨管理マニュアル Q&A(2016 年改訂版)

2013 年夏の前作発売以降も、めまぐるしい中国外貨管理制度の変更がありましたが、今回これらをすべてキャッチアップし、3 年ぶりに全面改訂を行いました。

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また、外貨管理だけではなく、クロスボーダー人民元決済、近年開始された資金集中管理(ネッティング・双方向プーリング)制度についても概要と活用方法を紹介しています。

**【商品情報】

** 執筆者:水野真澄

制作・発行:株式会社チェイス・チャイナ

定価:3,800 円+税  MCH 会員様価格:3,500 円+税

※香港売価格:一般 437 香港ドル  MCH 会員様価格:350 香港ドル

※中国で購入を希望されるお客様はinfo@mizuno-ch.com へお問い合わせください。

【お申込み・お問合せ】

こちらまでご連絡ください。

info@mizuno-ch.com (担当:横幕)


【水野真澄セミナー】

企業研究会主催 **中国外貨管理・クロスボーダー人民元の最新動向
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~ 1 日で理解する貿易取引、組織再編、資金効率活用の外貨管理と日本への利益回収モデル(規制強化が続く最近の中国外貨管理現状と注意点を、法律・実務の双方より解説)~

このセミナーでは、中国でビジネスを行うに当たって理解が必須となる貨物代金決済(ユーザンス・前受け・オフショア取引・前払・保税取引等)、非貿易項目決済(配当・フィー・ロイヤルティの対外決済)、人件費決済、国際間の立替金決済等に関する最新状況を解説します。
また資本項目決済は、経常項目に比較すると制限が多い状況ですが、企業の組織再現(合併、買収、エグジット、国内外持分出資等)に際しては外貨管理制度の把握が必須となりますし、資金調達・グループ企業間の資金運用についても、制度の理解により効率的な企業経営が可能になります。
当セミナーでは、中国の外貨管理の最新事情を法律と実務の双方の観点から、1 日で分かりやすく解説します。

■ 日時 2018 年1月 30 日(火) 13:00 ~ 17:00
■ 会場 東京・麹町 企業研究会セミナールーム
■ 主催 一般社団法人企業研究会
■ 講師 水野コンサルタンシーグループ代表 水野真澄
■ 受講料 通常…35,640 円
MCH 会員様…25,920 円
非会員様(MCH メルマガ経由申し込み)…29,160 円
※申込書に、会員様は「MCH 会員」、一般の方は「MCH メルマガ経由申込」とご明記下さい。
参加ご希望の方は、以下詳細ページをご確認の上、直接、企業研究会へお申し込みください。

■ 詳細 HP https://www.bri.or.jp/seminar/87393

■ お申し込み・お問合せ先

所定申込用紙にて e-mail または FAX でお申込みください。

一般社団法人 企業研究会 第2研究事業グループ

担当:福山 E-mail : fukuyama@bri.or.jp

102-0083  千代田区麹町 5-7-2 麹町 M-SQUARE 2F

TEL 03-5215-3550   FAX 03-5215-0951

**MCH 会員企業様、MCH メルマガ経由で申し込みをされた企業様には、優待価格を頂いております。

※MCH 会員様、一般の方のお申込みでは価格が異なりますので、詳しくは上記受講料をご確認ください。**


**【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版発行者
**MizunoConsultancyHoldingsLtd.

WEB サイト https://www.mizuno-ch.com

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